2022/07/30

片手で指折り数えるといくつまで数えられるのか ~重複順列と2進法~

問題 手のひらを上にして、グーの状態から片手で指折り数を数えるといくつまで数えられますか。


 片手で指折り数えるのはふつう5までで、グーの状態から一本一本指を立てて1から5までを数えます。ところが理屈の上では、同じグーの状態から指を立てて数えると31まで数えられます。両手があれば1023まで、両手両足なら104万8575まで数えられます。


まずはその理屈から解説します。5本の指は立てるか立てないかのどちらかです。すると、親指は立てるか立てないかの2通り、人差し指も同じく2通り、中指も薬指も小指もそれぞれ2通りあります。したがって $2^5$ 通りあります。まったく指を立てない場合を除けば $2^5-1=31$ 通りです。(重複順列の応用


この理屈に従えば、両手の場合は $2^{10}-1=1023$ 通りです。
両足も含めれば $2^{20}-1=1048575$ 通りということになります。実際に可能なのは両手までだと思いますが、足指が器用に動かせる人なら両足が使えるかもしれませんね。


でも実際に数えようとすると問題が生じます。ハンドサインというのがあり勘違いされてしまうからです。「4」を表現するのは躊躇われます。ここでは次のように表現します。

約束 ●は指を立てることを意味します。


仕組みは2進法です。親指1、人差し指2、中指4、薬指8、小指16 として指を立てた数を足したのが表す数です。上の表の●に従って指を立てると右の列の数になります。ビッグボスのハンドサインは親指と小指を立てているので17を表していることになります。


最初の問題の条件を緩めると片手だけでもっと多く数えられます。$2^7-1=127$ までは、はっきりと区別がつく形で表現できます。表裏と上下を利用します。私が気づかないだけで、もっと多く数えることができるかもしれません。よかったら考えてみてください。▢

2022/07/23

無限個を数える話 ~数え上げ~

いま『理一の数学事始め』では、数え上げの話をしています。高校数学で学ぶ「場合の数」の話を進めているのですが、漏れなく・重複なく数えるのはやさしいことではありません。
最初に学ぶのは小1算数だと思うのですが、数を数えるということは正の整数(自然数)と一対一対応させるということです。もちろん、小学生1年生にこういう説明はしません。これが理解できているのなら、次の問題は難しくないと思います。


問題 所有している山の木の本数を数えたい。どのように数えますか。(※1)




解答例 一対一対応をどのようにするかです。木を移動させたり切ったりするのは容易なことではありません。逸話の中の秀吉は、適度な長さの荒縄を十分の量用意し家来たちにそれを一本一本木に結び付けさせました。これが目印となり漏れなく木に結び付けられます。最後に元の荒縄の数から余った荒縄の数を引けば木の本数を求めることができます。▮


この一対一対応の考えを無限集合にも適用させて数えるという話があります。
無限集合の元の個数を数えるという不可思議なものですが、正の整数(自然数)と一対一対応ができれば自然数と同じ個数あると考えられます。この場合は個数でなく濃度と呼びます。

この考えに立つとさらに不可思議なことが起きます。
正の整数と正の偶数であれば、直観的には正の整数の方が多いように思いますが、濃度が等しいことがかんたんに判ります。正の整数 $n$ に対して $2n$ を対応させれば、正の整数と正の偶数とが一対一に対応します。

もうここでは説明しませんが、正の整数も整数も有理数も濃度が等しいといえます。そうすると気になるのは実数はどうなんだと思いますが、正の整数と実数には一対一の対応がつけられず、実数の方が多いのです。その実数は0より大きく1より小さい数と濃度が等しいのだから頭が混乱します。読みやすい本だと 遠山啓著『無限と連続』(岩波新書) があります。専門書であれば、集合の本に書かれています。私の場合は「ルベーグ積分」で最初に学んだと記憶しています。

この話をもう少し進めると

      「正の整数の濃度と実数の濃度との間の濃度は存在しない」


という仮説があります。これを連続体仮説といい、連続体というのは実数全体のことです。



数え上げということで一対一対応の話をしましたが、ずーっと以前は夏になるとNHK教育テレビで小学算数から中学・高校までの数学をよく視聴していました。番組名が定かでないのが残念なのですが、『さんすうみつけた』(?) という小学1年生向きの番組があり、その中で「ものを数える」話がされ "一つと一つ" という言葉で一対一対応を説明していました。このように数学を意識した説明がされていることにとても感心しました。さんすうではありますが、教える側は大学以降の数学をきちんと学んでいる必要があると感じた次第です。これ以外にも「長さをはかる」話もいいものでした。(※2)▢


※1 これは秀吉が信長に「領地の山の木の本数を数えろ」という逸話を元にしています。この話は秀吉を偉大な戦国武将に仕立てるための作り話だと思います。歴史小説や講談というは事実を交えながらそれに盛ることでおもしろおかしく描写するものです。シュリーマンのようなことは極めて稀です。

※2 『いちにのさんすう』『さんすうすいすい』だったかもしれません。番組名が変わっても内容は維持されていたように思います。でも21世紀には引き継がれなかったようです。

2022/07/16

2次方程式と2次関数とb^2-4ac ~実数解の個数と共有点の個数~

2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ ・・・① の解は2次関数 $y=ax^2+bx+c$ ・・・② において $y=0$ となる $x$ の値と言い換えることができます。つまり方程式の解は、関数のグラフと $x$軸との共有点として現れるということです。ただし、$x$ は実数変数とします。


結論 2次方程式①の解と2次関数②のグラフと$x$軸との共有点について

    [Ⅰ] ①の実数解が2つ ⇔ ②の共有点が2つ ⇔ $b^2-4ac>0$

    [Ⅱ] ①の実数解が1つ ⇔ ②の共有点が1つ ⇔ $b^2-4ac=0$

    [Ⅲ] ①の実数解がない ⇔ ②の共有点がない ⇔ $b^2-4ac<0$

 が成り立つ。▮


解説
いま $a\neq 0$ である(※1)から、2次関数 $y=ax^2+bx+c$ を平方完成すると

            $y=a(x-\dfrac{b}{2a})^2-\dfrac{b^2-4ac}{4a}$

となります(※2)。このとき $a$ の符号によって放物線が下に凸か上に凸かが決まります。

[Ⅰ] (1) $a>0$ のとき 放物線は下に凸

      グラフが $x$軸と2点で交わる ⇔ 方程式が2つの実数解をもつ

 グラフが $x$軸と2点で交わる ⇔ 頂点の $y$座標がマイナス

              ⇔ $-\dfrac{b^2-4ac}{4a}<0$

              ⇔ $b^2-4ac>0$
      (いま $a>0$ であるから $-4a<0$である。これを両辺に掛けて変形した)


(2) $a<0$ のとき 放物線は上に凸

      グラフが $x$軸と2点で交わる ⇔ 方程式が2つの実数解をもつ

 グラフが $x$軸と2点で交わる ⇔ 頂点の $y$座標がプラス

              ⇔ $-\dfrac{b^2-4ac}{4a}>0$

              ⇔ $b^2-4ac>0$
      (いま $a<0$ であるから $-4a>0$である。これを両辺に掛けて変形した)

したがって [Ⅰ] が確認できました。


以下同様にして [Ⅱ], [Ⅲ] についても得られます。

[Ⅱ] (1) $a>0$ のとき 放物線は下に凸

      グラフが $x$軸と1点で交わる ⇔ 方程式が1つの実数解をもつ

     グラフが $x$軸と接する ⇔ 頂点の $y$座標が0

              ⇔ $-\dfrac{b^2-4ac}{4a}=0$

              ⇔ $b^2-4ac=0$
(2) $a<0$ のとき (省略)


[Ⅲ] (1) $a>0$ のとき 放物線は下に凸

      グラフが $x$軸と交わらない ⇔ 方程式が実数解をもたない

   グラフが $x$軸と交わらない ⇔ 頂点の $y$座標がプラス

              ⇔ $-\dfrac{b^2-4ac}{4a}>0$

              ⇔ $b^2-4ac<0$
(2) $a<0$ のとき (省略) ▮


動機
今回この話をしたのは、2次関数のグラフを用いて考えるときに、頂点のy座標について考えることと判別式 $b^2-4ac$ が同値であることを確認したかったからです。高校生の頃にこのことを知らず、両方を答案に書いたことがあったからです。
いま手元になる高校数学Ⅰの教科書にはこの説明が書かれていません。これがその助けになればと思います。▢

※1 もしも $a=0$ だと2次方程式, 2次関数でなくなります。
※2 平方完成については 19.14「平方完成の補遺」をご覧ください。

2022/07/09

同値変形⑥絶対値付き方程式

問題 方程式 $|x-1|=2x+3$ を解け。ただし、$x$ は実数とする。


ふつうは次のように解きます。絶対値の中身によって場合分けをします。

解説1 i )  $x-1>0$. つまり $x>1$ のとき

                               $x-1=2x+3$,

                                  $x=4$. ($x>1$ に反する)

ii )  $x-1=0$. つまり $x=1$ のとき

                               $0=2x+3$,

                                  $x=\frac{-3}{2}$. ($x=1$ に反する)

iii )  $x-1<0$. つまり $x<1$ のとき

                               $-(x-1)=2x+3$,

                                  $x=\frac{-2}{3}$. ($x<1$ に反しない)

よって

                                          $x=-\dfrac{\:\:2\:\:}{3}$.  ▮


グラフを利用して解くこともできます(※1)。


次のように 同値変形 で解くことも出来ます。

解説2          $|x-1|=2x+3$

          ⇔ $|x-1|^2=(2x+3)^2$ かつ $2x+3 \geqq 0$

          ⇔ $(x-1)^2=(2x+3)^2$ かつ $x \geqq \frac{-3}{2}$

                             ⇔ $(3x+2)(x+4)=0$ かつ $x \geqq \frac{-3}{2}$

                             ⇔ $x=\frac{-2}{3}$ かつ $x \geqq \frac{-3}{2}$

よって

               $x=-\dfrac{2}{\:\:3\:\:}$. ▮


最初の同値は条件 $2x+3 \geqq 0$ によって成り立ちます。

⇐ を示すとき、両辺に $\sqrt{\:\:\:}$ を取りますが、条件 $2x+3 \geqq 0$ によって右辺が $2x+3$ になります。このとき、前回も使った

               $\sqrt{A^2}=|A|$ ($A \in \mathbb{R}$)

を利用しています。2つ目の同値のときには絶対値の性質

                $|A|^2=A^2$   ($A \in \mathbb{R}$)

を使っています。▢

※1 『理一の数学事始め』 の 20.30 をご覧ください。

  

2022/07/02

同値変形⑤無理方程式

問題 方程式 $\sqrt{2x+5}=x+1$ を解け。ただし、$x$ は実数とする。


解くだけなら次のような方法があります。

解説1 両辺を自乗する

                               $(\sqrt{2x+5})^2=(x+1)^2$,

                                  $2x+5=x^2+2x+1$,

                                            $x^2=4$,

                                            $x=\pm 2$.

これは上から下への ⇒ なので、方程式が成り立つための必要条件を求めたことになります。したがって十分性を確認します。

ⅰ)$x=2$ のとき

         $\sqrt{2x+5}=\sqrt{2・2+5}=3$, $x+1=2+1=3$

となり等号が成り立つ。

ⅱ)$x=-2$ のとき

       $\sqrt{2x+5}=\sqrt{2・(-2)+5}=1$, $x+1=(-2)+1=-1$

となり等号は成り立たない。

よって、

                 $x=2$. ▮



同値変形の場合 は次のようになります。

解説2        $\sqrt{2x+5}=x+1$

                      ⇔  $(\sqrt{2x+5})^2=(x+1)^2$  かつ  $x+1 \geqq 0$

                          ⇔  $x^2=4$  かつ  $x \geqq -1$

                          ⇔ $x=2$  かつ  $x \geqq -1$

よって、

                 $x=2$. ▮                                      


同値変形でのポイントは最初の同値です。
両辺を自乗したので解説1と同じことをしているのですが、⇐ は一般に成り立ちません。
⇐ が成り立つために条件 $x+1 \geqq 0$ を付けたのです。

 $(\sqrt{2x+5})^2=(x+1)^2$ から $\sqrt{2x+5}=x+1$ を得るためには、両辺に $\sqrt{\:\:\:}$ を取ればいいように思えますが、

              $\sqrt{(x+1)^2} \neq x+1$

です。これはルートの性質

                $\sqrt{A^2}=|A|$

によるものです。実際、

        $\sqrt{(-3)^2} \neq -3$ であり $\sqrt{(-3)^2}=|-3|=3$ です。

条件 $x+1 \geqq 0$ によって

                                  $\sqrt{(x+1)^2}=|x+1|=x+1$

となります。


なお、条件 $x+1 \geqq 0$ は式 $\sqrt{2x+5}=x+1$ から得られます。

$x \in \mathbb{R}$ なので $x+1 \in \mathbb{R}$ です。したがって、$\sqrt{2x+5} \in \mathbb{R}$ であるから $\sqrt{2x+5} \geqq 0$ です。よって $x+1 \geqq 0$ を得ます。ていねいに書きましたが、ふつうは

                           $\sqrt{2x+5} \geqq 0$  なので  $x+1 \geqq 0$

とします。▢  

2022/06/25

同値変形④連立方程式の代入法 [後] ~高校数学~

代入法による連立方程式の同値変形を2つに分けた理由が今回の問題にあります。


次のような計算は高校数学Ⅱ「図形と方程式」で出てきます。直線と円との共有点を求めるときにこれを解くことになります。

問題 連立方程式 $\begin{cases} x^2+y^2=5 \\ y=-x+1 \end{cases}$  を解け。


下の式が $y=$ になっているので代入法で解きます。

解答
   $\begin{cases} x^2+y^2=5 \\ y=-x+1 \end{cases}$ ⇔ $\begin{cases} x^2+(-x+1)^2=5 \\ y=-x+1 \end{cases}$ ⇔ $\begin{cases} x=-1, \: 2 \\ y=-x+1 \end{cases}$

            ⇔ $\begin{cases} x=-1 \\ y=2 \end{cases}$ または $\begin{cases} x=2 \\ y=-1 \end{cases}$. ▮


解説 3つの同値のうち、最初と最後はこれまでと同じなので省略します。真ん中の同値について説明しますが (⇒) は2次方程式を解きました。(⇐) は次の通りです:

$x=-1$ のとき

    $x^2=1$.また $-x+1=2$ でもあるから  $(-x+1)^2=4$. したがって

               $x^2+(-x+1)^2=5$

を得ます。よって同値変形になっています。▮


ここからが本題です。

前回紹介しましたが、途中で得た $x$ の値を代入した式 $y=-x+1$ でなく、代入された方の式 $x^2+y^2=5$ を利用して $y$ の値を求めてもいいのでしょうか。つまり


別の解答
 $\begin{cases} x^2+y^2=5 \\ y=-x+1 \end{cases}$ ⇐①⇒ $\begin{cases} x^2+(-x+1)^2=5 \\ x^2+y^2=5 \end{cases}$ ⇐②⇒ $\begin{cases} x=-1, \: 2 \\ x^2+y^2=5 \end{cases}$

          ⇐③⇒ $\begin{cases} x=-1 \\ y=\pm 2 \end{cases}$ または $\begin{cases} x=2 \\ y=\pm 1 \end{cases}$. ▮


という解答は可能でしょうか。


①~③の同値を確認してみます。①~③の (⇒) は各自に任せ省略します。

③の (⇐) について:(1) $x=-1, \: y=\pm 2$ のとき

                              $x^2=1, \: y^2=4$ より   $x^2+y^2=5$.

(2) $x=2, \: y=\pm 1$ のとき

                              $x^2=4, \: y^2=1$ より   $x^2+y^2=5$.

したがって、③は同値です。


②の (⇐) について:これは上の 解説 と同じです。


①の (⇐) について: $x^2+(-x+1)^2=5, \: x^2+y^2=5$

     ⇒ $(-x+1)^2=5-x^2, \: y^2=5-x^2$ ⇒ $y^2=(-x+1)^2$

     ⇒ $y=-x+1$ または $y=-(-x+1)$.

したがって、①は同値ではありません。▮


:この最後の部分について補足します:よく間違えるルートの性質

                $A>0$ のとき $\sqrt{A^2}=A$, $A<0$ のとき $\sqrt{A^2}=-A$.

   (この性質は絶対値記号を使って $\sqrt{A^2}=|A|$ のようにも書かれます)

を使うか、または、次のように計算します。

           $y^2=(-x+1)^2$ ⇒ $y^2-(-x+1)^2=0$ 

         ⇒ $(y-(-x+1))(y+(-x+1))=0$

         ⇒ $y=-x+1$   または   $y=-(-x+1)$.▮


こういうことがあるので代入法は、代入した方の式で他の値を求める方がいいのです。このため中学数学での代入法の指導で "どちらの式を使っても良い" とは教えないのだと理解しています。▢



次のクイズは前回の最後に出題したものです。

(再)クイズ 連立方程式 $\begin{cases} y=x^2 \\ y=2x+8 \end{cases}$ を次の解答例のように解いても良いでしょうか。

解答例 上の式から下の式を引くと

       $0=x^2-2x-8$,
      $0=(x+2)(x-4)$.
        $x=-2, \: 4$.

   これらをそれぞれ上の式に代入して

   $x=-2$ のとき $y=(-2)^2=4$,
   $x=4$  のとき $y=4^2=16$.

よって、
   $(x, \: y)=(-2, \: 4), \: (4, \: 16)$. ▮


クイズの答え 良い

今回扱った問題に似ていますが、$x$ の値を出してからはどちらに代入しても構いません。加減法を使って解いていますが、代入法を意識して解くのがふつうかもしれません。このとき下を上に代入したとみても、上を下に代入したとみても構いません。
$y^2$ でなく $y$ なので今回扱った問題とは異なります。

3回に亘って扱った連立方程式は比較的かんたんなものです。一般の連立方程式を同値変形を意識して解くのは難しいので、導かれた解の十分性も確認するようにしています。▮

2022/06/18

同値変形③連立方程式の代入法 [前]

本題は少し下からです。その前に材料の紹介です。 今回はクイズが2つあります。

問題 連立方程式 $\begin{cases} 3x-2y=-11 \\ y=2x+7 \end{cases}$ を解け。

まずは教科書に書かれているふつうの方法です。
解答 下の式を上の式に代入して
               $3x-2(2x+7)=-11$,
                    $-x-14=-11$,
                        $x=-3$.

これを下の式に代入して
                $y=2・(-3)+7=1$.

よって
                $(x, \: y)=(-3, \: 1)$. ▮


同値変形で書くと次のようになります。

     $\begin{cases} 3x-2y=-11 \\ y=2x+7 \end{cases}$  ⇐①⇒  $\begin{cases} 3x-2(2x+7)=-11 \\ y=2x+7 \end{cases}$

                    ⇔  $\begin{cases} x=-3 \\ y=2x+7 \end{cases}$

                    ⇔  $\begin{cases} x=-3 \\ y=2・(-3)+7 \end{cases}$

                    ⇔  $\begin{cases} x=-3 \\ y=1 \end{cases}$.

①の同値で式 $y=2x+7$ を添えているのがポイントです。それぞれの同値の理由は前回とほぼ同じなので省略します。これをみて分かるように上の解答は同値を意識しています。下の式 $y=2x+7$ に代入して $y$ を求めているからです。


ここから本題です。

クイズ1 解答で $x=-3$ を下の式 $3x-2y=-11$ に代入しても $y=1$ です。このように、上の式でなく下の式に代入して $y$ を求めても同値変形になっているのでしょうか。


ちょっとだけ考えてみてください。


これは中学時代のガッコのセンセが

「代入法は代入して得た結果をもう一方の代入する式に入れなければいけない。代入した方の式で計算したのでは一方の式しか満たしていない」

というようなことをおっしゃっていたのを思い出しての出題です。高校時代のセンセは

「計算がかんたんそうな方に代入する方がいい」

とおっしゃっていました。



クイズ1の答え 同値変形になっています。

怪しいですよね、確認してみます。

       $\begin{cases} 3x-2y=-11 \\ y=2x+7 \end{cases}$  ⇐①⇒  $\begin{cases} 3x-2(2x+7)=-11 \\ 3x-2y=-11 \end{cases}$

                    ⇐②⇒  $\begin{cases} x=-3 \\ 3x-2y=-11 \end{cases}$

                    ⇐③⇒  $\begin{cases} x=-3 \\ 3・(-3)-2y=-11 \end{cases}$

                    ⇐④⇒  $\begin{cases} x=-3 \\ y=1 \end{cases}$.


①~④の ⇒ は省略し、⇐ を確認します。


④の⇐について:$y=1$  ⇒  $-2y=-2$  ⇒  $3・(-3)-2y=-11$.


③の⇐について:下の式の $(-3)$ を上の式を使って $x$ に変える。



②の⇐について:$x=-3$  ⇒  $2x=-6$  ⇒  $2x+7=1$

              ⇒  $-2(2x+7)=-2$  ・・・[1],

        $x=-3$  ⇒  $3x=-9$  ・・・[2]. 

[1], [2] を辺々加えると
               $3x-2(2x+7)=-11$.


①の⇐について:$3x-2(2x+7)=-11, \: 3x-2y=-11$

              ⇒  $3x+11=2(2x+7), \: 3x+11=2y$

              ⇒  $2y=2(2x+7)$  ⇒  $y=2x+7$.


逆向きもいえたので確かに同値変形になっています。▮


まだ怪しいと思っている人も少なくないと思います。たぶんそれは次回の「代入法 [後]」で解決すると思います。ここに代入法を2つに分けた理由があります。次のクイズを考えておいてください。▢



クイズ2 連立方程式 $\begin{cases} y=x^2 \\ y=2x+8 \end{cases}$ を次の解答例のように解いても良いでしょうか。

解答例 上の式から下の式を引くと

                  $0=x^2-2x-8$,
                  $0=(x+2)(x-4)$,
                   $x=-2, \: 4$.

これらをそれぞれ上の式に代入して

            $x=-2$ のとき $y=(-2)^2=4$,
             $x=4$  のとき $y=4^2=16$.

よって
             $(x, \: y)=(-2, \: 4), \: (4, \: 16)$. ▮


この連立方程式は中3数学で現れる形ですね。解答解説は次回です。

ちょっと・・・それは・・・ ~ 定義とその周辺の話 ~

内容的には高校数学なのですが高校生には難しいと思います。ただ高校生であっても定義・定理(命題)・公理の区別が出来ているのであればおもしろいと思うし、数学教師志望の教育学部や数学科の学生には興味深い話だと思います。 現在、 『数学事始め』 では指数関数・対数関数の話をしています...