2022/05/28

放物線はすべて相似です

          「すべての放物線は相似である」


これを利用して『数学事始め』の放物線をかいています。いまならグラフを描くソフトを利用するの手っ取り早いのでしょうが......

POWER POINT の画面で方眼を敷いて、点を取って曲線で結びました。土台は2次関数 $y=x^2$ のグラフです。この図形を拡大縮小または回転させたものを利用しています。後ほど出てくる図形も同じ方法で描いています。


教科書に書かれていた

             $y=\dfrac{1}{\:\:2\:\:}x^2, \: y=x^2, \: y=2x^2$

のグラフを拡大縮小して確認したことがあります。実際にやって重なったときにはちょっとしたものがありました。PC上でなく、コピー機を使ったのがいいところです。$y=\frac{1}{\:\:2\:\:}x^2$ のグラフを50%、$y=2x^2$ のグラフは200%でコピーすると $y=x^2$ のグラフに重なります。


ここから本題です。

数学Ⅲでは2次曲線として学ぶので、$y^2=4px \:\: (p \in \mathbb R)$ の式で習いますが $\dfrac{\pi}{\:\:2\:\:}$ 回転させれば $y=\frac{1}{4p}x^2$ のグラフに重なるので $y=ax^2 \:\:(a \in \mathbb R)$ で考えられます。さらに平行移動と回転移動によって、すべて $y=ax^2 \: (a>0)$ の形で捉えることができます(※0)。

さて2つの図形が相似であることを言うには、ある定点からの距離の比が一定である (相似の位置にある) ことを示せばいいですね。『数学事始め』のシリーズ12 12.8「多角形の相似と一般的定義」 はこの話をするための準備でした。随分、時が経ちました。



では「すべての放物線は相似である」ことを証明するために何を示しますか。


相似は同値関係(※1)なので、2つの放物線 $y=x^2$ と $y=ax^2 \: (a>0)$ の相似がいえれば十分です。そこで

証明 2つの放物線 $y=x^2$ と $y=ax^2 \: (a>0)$ と 任意の直線 $y=mx \: (m \neq 0 \: は任意)$ との交点(原点でない)をそれぞれ A, B としその点の座標を求めると

              $A(m, \: m^2), \:\: B(m/a, \: m^2/ a)$

であり

         $OA:OB=|A_x|:|B_x|=|m|:|m/a|=a:1$

となり比が一定なので、2つの放物線は相似の位置にあります。▢

補足
・記号 $A_x$ は点Aの $x$ 座標を意味します。

・上の証明で気を付けることは、$a$ が定数であることです。だから $a:1$ が一定といえます。$m$ は計算するときには固定したものとして考えていますが、任意なのでいろいろな値を取ります。もちろんマイナスも取ります。これによってどんな実数 $m$ に対しても相似の中心(原点)から2つの図形までの距離の比が一定なので相似の位置にあると言えます。

・同値関係であることから、2つの放物線 $y=ax^2$ と $y=bx^2$ が相似であることがいえます。放物線 $y=x^2$ を経由させて推移律から導けます。

・関係式 $OA:OB=a:1$ がコピーの拡大方法を示しています。$OA=aOB$ なので $y=ax^2$ のグラフを $a$ 倍すれば  $y=x^2$ のグラフに重なります。


きちんと証明しようとすると、どんどん長くなり本質を見失ってしまうのでこのようにしました。証明として描いた部分が主要部です。▢


※0 線形代数で$x, \: y$ に関する2次方程式

         $ax^2+2hxy+by^2+2gx+2fy+c=0$

の表す曲線を2次曲線といい、この2次曲線は円、楕円、双曲線、放物線および2つの直線のいずれかであることを "2次曲線の分類" で学びます。この中で放物線は $y^2=4px$ の形に集約できることを知ります。授業ではあまり扱われないと思いますが、本には書かれていると思います。


※1
 関係~ が次の3つを満たすとき同値関係という:

(1) x~x (反射律) (2) x~y ⇒ y~x (対称律) (3) x~y, y~z ⇒ x~y (推移律)

例えば、数の等号、図形の合同なども同値関係です。
このように書くと難しく感じますが、数の等号や図形の合同でほとんど何も考えずに対称律や推移律を使っていますよね。大学数学ではこれを紹介したすぐ後に、剰余類などを学ぶので難しく感じるのです。商集合、等化空間、剰余群などと言われると「?」しか出てきませんね。

2022/05/21

最大値がないことをグラフをみて判断していいのか ~極限も気になります~

問題 実数 $x>0$ 上で定義された2つの関数

               $y=x^2$,  $y=\dfrac{1}{\:\:x\:\:}$

において、それぞれの最大値および最小値を求めよ。 



関数のグラフは次の通りで、いずれも中学数学で学びます。


グラフからどちらも最大値、最小値がないと判ります。中学、高校ならこれで問題ないと思います。大学入試問題でも


         「最大値・最小値を持たないことを証明せよ」


と出題しない限り、減点されないと思います。
高校数学ではこのグラフを頼りに次の結論を得ます:

          $\displaystyle \lim_{x\downarrow 0}x^2=0$       $\displaystyle \lim_{x\to \infty }x^2=\infty$

          $\displaystyle \lim_{x\downarrow 0}\dfrac{1}{\:\:x\:\:}=\infty$      $\displaystyle \lim_{x\to \infty}\dfrac{1}{\:\:x\:\:}=0$

:極限の表記については ※1 をご覧ください。


これを用いて極限の問題を解きますが、大学では証明しなさいと言われ「...」となります。「えっ、証明すべきことだったの?」

気づいたと思いますがグラフをみて判断するのは直観的なものであり、本来、認められません。このことに中高生が気づいたのなら、秀逸な論理思考に瞠目します。

なお、最大値・最小値を持たないことを証明するのは難しくありません。背理法を用いて証明することができます。各自で考えてみてください。
ただし、高校数学までの知識の場合は

相異なる2つの実数 $a, b \: (a < b)$ に対して、$a < c < b$ なる実数 $c$ が存在することを仮定します(※2)。

これは実数の稠密性(チュウミツセイ)と呼ばれるものです。だから内容的には大学1,2の数学ということになります。▢



この補遺は一般に難しい内容です。数学科の学生でも苦しむものだからです。

補遺 $\displaystyle \lim_{x\to \infty}\dfrac{1}{\:\:x\:\:}=0$ について

この式の意味は、実数 $x$ をどんどん大きくすると $\dfrac{1}{\:\:x\:\:}$ の値が0に近づいていくことを意味しています。これはかなり怪しい表現ですが、次のように言い換えると明確になります。

どんなに小さな正の実数 $s$ を考えても、ある実数 $r$ より大きい実数 $x$ に対しては $\dfrac{1}{\:\:x\:\:}$ の値が $s$ よりも小さくなる。

「どんどん大きくすれば」の曖昧な部分を具体的にrより大きい実数 $x$ に対してとし、
「0に近づく」の曖昧な部分を $1/x$ が想定している小さいsよりも小さくなると言い換えたのが先人の知恵です。

これは $x>0$ なのだから $0< 1/x < s$ であり、$s$ はどんなに小さくてもいいのだから、その間にある $1/x$ は0に近づくしかないよね、という論法です(※3)。

実際、ものすごく小さい正の実数 $s$ を考えます。このとき $1/s$ も実数なので、これを
$r:=1/s$ とします。すると $r< x$ に対して

                                    $0< \dfrac{1}{\:\:x\:\:}< \dfrac{1}{\:\:r\:\:}< s$

となります。正の実数 $s$ はどんなに小さくてもいいので

                               $x\to \infty$  のとき,  $\dfrac{1}{\:\:x\:\:} \to 0$. ▮ 



※1 $x\downarrow 0$ は正の方から0に近づけることを意味しています。$x \to +0$ と同じ意味です。これを口頭で説明するときに、「正の方から0に近づける」とも言いますが「上から0に近づける」ともいうのです。
ここで「正の方から2に近づける」の表現

            $x \to 2+0$   と   $x\downarrow 2$ 

とを比べたとき後者の方が簡潔だと思いませんか。

※2 「当たり前のことをなぜ仮定するの?」と思いますよね。特に、高校数学Ⅲの中間値の定理や平均値の定理を学んだ人は尚更だと思います。

ただ少し考えてみると、当たり前のようで当たり前でないことに気づくかもしれません。実数や有理数を想定していると気づきませんが、整数を考えてみてください。整数 2, 3 の間に整数は存在しますか。

実数って何なのか気になりますよね。高校数学までは実数について議論をしません。そういうのがあるっぽいと見せて、ほとんど何も語っていません。この辺りの話をきちんとしようというのが大学以降の微分積分です。数学科以外でも大学によっては触れると思います。40年ほど前は大学1年のはじめに学びましたが、いまは1年の後半か2年だと思います。

微分積分の歴史を知ると興味深いところですが、高校数学のように実数を認めてしまって、取り敢えず複素関数まで進めてしまう方が現実的なように思います。留数定理までやって積分計算ができるようになってから厳密化する方が学びやすいと思います。この流れだと大学2年後半以降に実数論を学ぶことになります。(雑感)

なお、実数が四則演算に関して閉じていて、全順序($a \gtrless b$ or $a=b$ が成り立つ)であることを仮定していれば稠密性を断る必要はありません

※3 はさみうちの原理を使っていますが、この論法はイプシロン‐デルタ論法と言われます。感じを掴みやすくするために "どんなに小さな実数" としましたが、日本語では "任意" が使われ、英語では "any" が使われます。任意(any) というのが肝です。どんな実数sを想定してもある数rが存在し、これより先ではsより小さくなると主張しているのです。

また、いまはギリシャ文字 $\epsilon, \delta$ の代わりに $s, r$ を使いました。これは見慣れないギリシャ文字を使うだけで混乱するからです。私は $\xi$ がなかなか受け入れられませんでした。慣れると何てことないのですけどね。もちろん、$s$ を使ったのは small の頭文字からです。rはその前の文字です。$\epsilon, \delta$ はアルファベットの e, d に相当します。 

$\displaystyle \lim_{x\downarrow 0}\dfrac{1}{\:\:x\:\:}=\infty$ も気になると思いますが、大学数学の微分積分の本をご覧ください。上の説明が理解できたのなら、専門書を読んでも理解できると思います。

2022/05/14

ラグランジュの補間式 ~ 二次関数の道草② ~

前回はニュートンの補間法を紹介しました。本来の解法と比べると少し計算がらくになるというものでしたが直接式を求める方法もあります。それがラグランジュの補間式と呼ばれるものです。


まずは 準備体操 です。次の条件をみたす $x$ の2次式 $P$ を作ってみてください。

           条件:$P(2)=0, \: P(3)=0, \: P(-1)=1$.

ここで、$P(2)=0$ は $x$ の2次式 $P$ で $x=2$ を代入すると $0$ になることを意味します。



作れましたか。難しいですよね。でも次のように考えるとかんたんに作れると思います。

いきなり3条件を考えるのでなく、2つの条件 $P(2)=0, \: P(3)=0$ をみたす2次式を作ってみてください。

これが出来たら条件 $P(-1)=1$ もみたすように加工してください。



このように作れます。
2つの条件 $P(2)=0, \: P(3)=0$ をみたす2次式は

               $P=(x-2)(x-3)$

です。そして条件 $P(-1)=1$ もみたすようにしたいのですが、何も加工しないと

            $P(-1)=((-1)-2)・((-1)-3)=12$

です。そこで次のようにすれば $P(-1)=1$ もみたします:

                                           $P=\dfrac{(x-2)(x-3)}{12}$.

3条件をみたしていることを確認してください。ところで

               $P=(x-2)(x-3)-11$

と加工しても条件 $P(-1)=1$ をみたすのですが、$P(2)=0, \: P(3)=0$ をみたさなくなってしまいます。$12$ で割るのが肝です。



まだ首筋がほぐれていないようです。次の条件をみたす $x$ の2次式 $Q$ を作ってください。

           条件:$P(3)=0, \: P(-1)=0, \: P(2)=-2$.




作れましたか。次の通りです。

                 $Q=\dfrac{2(x-3)(x+1)}{3}$.

最後の調整は、3で割って2を掛けました。




大夫ほぐれましたね。では仕上げに次の条件をみたす $x$ の2次式 $R$ を作ってください。

           条件:$P(-1)=0, \: P(2)=0, \: P(3)=5$.




このように作れましたか。

                  $R=\dfrac{5(x+1)(x-2)}{4}$.


(では本題に入ります)

問題 3点(2, -2), (3, 5), (-1, 1) を通る放物線をグラフとする2次関数を求めよ。



ラグランジュの補間式
で解いてみます。

         $y=\dfrac{(x-2)(x-3)}{12}+\dfrac{2(x-3)(x+1)}{3}+\dfrac{5(x+1)(x-2)}{4}$

が求める2次関数です。2次式なので関数のグラフは放物線であり、3点を通ることもかんたんに確認できます。

   $x=2$ のとき $y=-2$,  $x=3$ のとき $y=5$,  $x=-1$ のとき $y=1$

になっていますね。この式を整理して

                 $y=2x^2-3x-4$

を得ます。▮


気づいた人もいると思いますが、準備運動で求めた3式 $P, \: Q, \: R$ を足した式です。

式の作り方

求める2次関数を $y=f(x)$ と置きます。
$x$ 座標に注目すると順に 2, 3, -1 なので、$f(2)=0, \: f(3)=0$ となる2次式を作り、$f(-1)=1$ となるように調整します。

次は、$f(3)=0, \: f(-1)=0$ となる2次式を作り、$f(2)=-2$ となるように調整します。

そして $f(-1)=0, \: f(2)=0$ となる2次式を作り、$f(3)=5$ となるように調整します。

これらを足したものが求める式で、これがラグランジュの補間式です。



次の問題で使い方を確認してください。

確認問題 3点(1, 5), (2, 1), (3, -7) を通る放物線をグラフとする2次関数を求めよ。

答え $y=-2x^2+2x+5$.



最後に一般式を紹介しておきます。

ラグランジュ(Lagrange)の補間式

異なる $(N+1)$個の複素数 $\alpha_0, \: \alpha_1, \alpha_2, ..., \alpha_N$ に対して $f(\alpha_0)=A_0, \: f(\alpha_1)=A_1, \: f(\alpha_2)=A_2, ..., f(\alpha_N)=A_N$ をみたす $N$ 次以下の多項式 $f(x)$ は次式で与えられる:

                     $\phi (x):=(x-\alpha_0)(x-\alpha_1)(x-\alpha_2)・・・(x-\alpha_N)$

に対して因数 $x-\alpha_i \: (i=0, 1, 2, ..., N)$ を除いた

            $\phi_i (x):=(x-\alpha_0)(x-\alpha_1)・・・(x-\alpha_{i-1})(x-\alpha_{i+1})・・・(x-\alpha_N)$

とすると、

       $f(x)=A_0\dfrac{\phi_0(x)}{\phi_0(\alpha_0)}+A_1\dfrac{\phi_1(x)}{\phi_1(\alpha_1)}+A_2\dfrac{\phi_2(x)}{\phi_2(\alpha_2)}+・・・+A_N\dfrac{\phi_N(x)}{\phi_N(\alpha_N)}$.

このとき、$\phi_i (\alpha_i)\neq 0, \: \phi_i (\alpha_j)=0 \: (i\neq j)$ である。▮


このように書くと分かり難いですが、$N=2$ の場合が上で紹介した2次式です。▢

参考文献 岩切晴二著『代数学・幾何学詳説』(培風館)PP.36-37

前回のニュートンの補間法で紹介した数学書にも書かれています。

2022/05/07

ニュートンの補間法 ~2次関数の道草~

問題 3点(2, -2), (3, 5), (-1, 1) を通る放物線をグラフとする2次関数を求めよ。


ふつうこの問題は求める2次関数の式を

           $y=ax^2+bx+c \quad (a, b, c \in \mathbb R)$

とおいて、3点を通ることから3本の方程式

     $4a+2b+c=-2, \: 9a+3b+c=5, \: a-b+c=1$

を作り、これを解いて

            $a=2, \: b=-3, \: c=-4$

を得て

              $y=2x^2-3x-4$

と求めます。▮


基本的な考え方と計算力をつけることを考えると、この解答はとてもいいと思います。ただこの問題には計算がらくになる解法があります。数学教師は問題作成のときに使っているかもしれません。

その解法というのが  Newtonの補間法  です。

2点(2, -2), (3, 5) を通ることを利用して、求める2次関数の式を

      $y=l+m(x-2)+n(x-2)(x-3) \quad (l, m, n \in \mathbb R)$


と置きます(実際は、$x$ 座標のみ使います)。この式で点(2, -2)を通ることから

                 $l=-2$ 


と決まります。次に点(3, 5)を通ることから


               $l+m(3-2)=5$


より $m=7$ と決まり、点(-1, 1) を通ることから


         $l+m(-1-2)+n(-1-2)(-1-3)=1$


から $n=2$ と決まります。よって、

         $y=(-2)+7(x-2)+2(x-2)(x-3)$


を整理して

              $y=2x^2-3x-4$

と求められます。▮


このNewtonの補間法は

命題 異なる $N+1$ 個の実数(または複素数) $\alpha_0, \alpha_1, \alpha_2, ..., \alpha_N$ と 任意の実数(または複素数) $A_0, A_1, A_2, ..., A_N$ に対して

         $P(\alpha_i)=A_i \quad ( i \in \{0, 1, 2, ..., N \})$

を満たすN次以下の多項式 $P$ が唯一つ存在する. ▮


を証明するときに現れる式です。その多項式 $P$ は次のように書けます:


    $P=c_0+c_1(x-\alpha_0)+c_2(x-\alpha_0)(x-\alpha_1)$
      $+ \cdots +c_N(x-\alpha_0)(x-\alpha_1)(x-\alpha_2) \cdots (x-\alpha_{N-1})$.


この式に $P(\alpha_i)=A_i \quad ( i \in \{0, 1, 2, ..., N \})$ を適用すると

             $c_0, \: c_1, \: c_2, ..., c_N$

が順に決まります。そのため1次方程式を繰り返しとくだけなので計算はかんたんです。実際には、PCに計算させるときに用いるとプログラムがかんたんになるのかもしれません。


この説明だと分かり難いと思うので使える形で書き直しておきます。

"3点 $(\alpha, \: A), (\beta, \: B), (\gamma, \: C)$ を通る放物線をグラフとする2次関数を求めよ。"

という場合

      $y=l+m(x-\alpha)+n(x-\alpha)(x-\beta) \quad (l, m, n \in \mathbb R)$


と置き、3点$(\alpha, \: A), (\beta, \: B), (\gamma, \: C)$ を通ることから3本の方程式が得られ、これを解いて $l, m, n$ が決まります。

 この方法で解けている理由は末尾に記します。


確認問題 3点(1, 5), (2, 1), (3, -7) を通る放物線をグラフとする2次関数を求めよ。

答え $y=-2x^2+2x+5$.



この方法を最初に知ったのは、遠い記憶ですが受験参考書の赤チャートだったと思います。

次に目にしたのは代数系入門(松坂和夫)、代数学・幾何学詳説(岩切晴二)、代数学講義(高木貞治)などの専門書です。私自身はこの公式をこれまで使ったことはありません。
確認したところ、Newtonの補間式は代数系入門にしか載っていませんでした。これらの本には共通してLagrangeの補間式(ラグランジュ)が書かれていました。この式は次回紹介します。分数の形なのでNewtonの補間法を先に紹介しました。▢


ニュートンの補間法で解けている理由

これを示すには $y=ax^2+bx+c$ との対応関係を示せばいいですね。つまり、$l, \: m, \: n$ を求めることと $a, \: b, \: c$ を求めることとが一対一に対応していることを示します。


       $y=l+m(x-\alpha)+n(x-\alpha)(x-\beta)$

          $=nx^2+(m-n(\alpha +\beta))x+(l-m\alpha +n\alpha \beta)$


したがって、$l, \: m, \: n$ と $a, \: b, \: c$ との関係は

       $a=n, \: b=m-n(\alpha +\beta), \: c=l-m\alpha +n\alpha \beta$


で与えれられます。$\alpha , \: \beta$ は与えられている定数なので、$l, \: m, \: n$ が判れば、$a, \: b, \: c$ が決定します。逆に、

       $n=a, \: m=b+n(\alpha +\beta), \: l=c+m\alpha +n\alpha \beta$


によって$a, \: b, \: c$ が判れば、$l, \: m, \: n$ が順に決定します。▮

ちょっと・・・それは・・・ ~ 定義とその周辺の話 ~

内容的には高校数学なのですが高校生には難しいと思います。ただ高校生であっても定義・定理(命題)・公理の区別が出来ているのであればおもしろいと思うし、数学教師志望の教育学部や数学科の学生には興味深い話だと思います。 現在、 『数学事始め』 では指数関数・対数関数の話をしています...