定数には $a, b, c, ...$ を使い、変数には $x, y, ...$ を使う。
と高校数学の参考書に書かれていたと記憶しています。数学オンチだったので高校生のとき
数学教師から文字の使い方を指摘されて調べたことがあったのです。この外にも数学的帰納
法で固い ”k” を使ったら、柔らかい "$k$"(筆記体のk) を使うようにと指導されました。
いま思えば、これはその教師の趣味だったように思います。いまは動画で数学者による講演
や授業が視聴できます。その人たちの文字は様々です。固い文字を使っているのも少なくな
いのが現状です。
定数は $a, b, c, ...$ 、変数は $x, y, ...$
パラメータ(媒介変数)は $s, t, ...$ 、関数は $f, g, ...$ 、
集合は大文字表記するのが一般的なようです。
こういうのには歴史的な流れがあるようですが、絶対にこの文字を使わなくてはならないと
いうものではありません。$a$ を使っても変数やパラメータということもあります。実際には
文字の選び方は専門書を読んでいる中に自然と身に付くもののようです。
ただしこれらに共通しているのは、似たものを表現したい場合はアルファベットの近い文字
を使います。関連性を持たせることで分かりやすくするためです。
他に、文字で指定する場合は認識しやすいように用語の頭文字によって関連を持たせます。
関数の "$f$" はfunction の頭文字です。だから関数を表すときには $f, g, h$ がよく用いられま
す。高校数学では判別式(determinant)のDや和(sum)・総和(summation)記号の $S, \Sigma $
($\Sigma $はギリシャ文字で、アルファベットのSに相当します), 添え字(index)記号では $i$, 素数
(prime number)の $p$, 虚数(imaginary number)単位の $i$ などが直ぐに思い浮かびます。
中学数学は英語のアルファベットで十分ですが、高校数学になるとアルファベットに添え字
を付けたり $\Sigma$ のようにギリシャ文字を使ったりしますね。$\alpha, \beta, \theta, \pi, \omega$ はお馴染みですね。
大学以降になるとこれでも文字が足りないのでドイツ語の飾り文字 $\mathfrak{a}, \mathfrak{O}$ やアルファベット
の飾り文字 $\mathscr{C}$ も使われます。ロシア文字も使われます。そうであっても用語の頭文字に
関連させて使われます。▢
余談
アルファベットに添え字を付けることで関連性のある別の文字を表現するのですが、最初に
出会ったときには、$x_1, y_1$のように添え字を付けるので数字の1に深い意味があるのかと思
いとても難しく捉えてしまいチンプンカンプンでした。慣れると何てことないのですがこう
いう些細なことでも数学オンチの私には難しく思えたのです。
リーマン幾何のアインシュタイン規約の影響で、曲線・曲面の微分幾何でも点の座標を
$(x^1, y^1), (x^2, y^2)$
などと表したりもするので、きちんと内容を掴んでいないと酷いことになります。
例えば第1成分の平方という場合は $(x^2)^2$ のように表現しますが
$(x^2)^2=x^4$
とやってはいけません。▮