2022/01/08

年賀問題の種明かし


 

前回の画像を消してしまったようなので、動画のサムネを持ってきました。


さて問題は解けたでしょうか。力づくで解くことが出来るだろうことはわかったと思いますが、それでは計算がたいへんそうです。酔った頭で考えるとなると悪酔いしそうですね。


この問題は次のように考えて作りました。前回の「年賀問題と整数論への招待」でほとんどすべてですが、それに補足します。


【種明かし】
素因数分解すると、2022=2・3・337 となります。337 が素数であることは手計算で確認しました。

$20^2=400$ なので、20より小さい素数の平方を考えると $19^2=361$, $17^2=289$ です。したがって、337 が2,3,5,7,11,13,17 を因数にもつか否かを確認すればいいですね。2,3,5,11 でないのは一目なので、実際は7,13,17を調べます。7は暗算で、13と17は13・17=221, $13^2=169$ なので違うと判ります。 

素因数分解 2・3・337 を眺めてもはじめは何も感じなかったのですが、337 は4で割ると1余るので平方和で表せる(代数的整数論)ことを思い出しました。最初は

"2022を素因数分解し、最大の素因数を2つの平方数の和で表せ"

という問題を考えていたのですが、$337=81+256=3^4+2^8$ なので、少し修正して年賀問題にしたのです。2022の素因数が337の他に 2,3 のみだったから、2022がその2つの素因数 2,3 のべき和で表せました。



答え (m, n)=(9, 5).

答えがこれだけであることは、ガウス整数環ℤ[i] における素元分解の一意性によります。実際
                             $337=256+81=16^2+9^2=(16+9i)(16-9i)$
により
              2022=2・3・(16+9i)(16-9i)
となるからです。▮
※ もちろん他の可能性をすべて調べ、他にはないとするのもあります。


啓蒙書でフェルマーの最終定理が書かれていれば、ガウス整数環の素元分解の一意性も紹介されていると思います。同時にフェルマーの最終定理の解決に貢献した数学者の一人クンマー(Kummer) も紹介されていると思います。代数的整数論には欠かせない数学者です。▢

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