用語の確認
A ⇒ B (真) かつ B ⇒ A (真) のとき、AとBは同値であるといい記号で A ⇔ B と書きました。" ⇒ " は " ならば " と読みます。 同値は、表現が異なるけど同じことを言っていると捉えればいいと思います。
基本例 「1次方程式を解きなさい」と言われたらは次のように解きませんか。
4x+5=17,
4x=12,
x=3.
これは次の等式の性質を利用して式変形をしています:
a=b ⇒ a-c=b-c, a=b ⇒ ac=bc.
覚えていないと思いますが、中1数学ならこの後に x=3 を元の式の左辺 4x+5 に代入して 17 になるかどうかを確認します。このようにするのは、同値変形を教えていないからです(※1)。方程式や不等式を解いて得られる答えは元の式の必要十分条件です。そうでないと減点か✖ですね。もしも十分条件でいいのなら、x^2-3x=10 の解を x=5 としても満点です。
さて、上の解法の流れを意識して書くと次の通りです。
4x+5=17 ⇒ 4x=12 ⇒ x=3.
「⇒」のところで等式の性質を使っています。したがって x=3 は必要条件です。だから十分性を確認するために、x=3 のとき元の式が成り立つかどうかを確認します。方程式の解き方を習った当初は検算と称して確認していたと思いますが、本当は十分性の確認だったのです。
実際のところ、最初の解答ならバレません。意識して「⇒」を入れてしまったら減点対象になります。幸い、最初の解答は同値変形になっています。次のように逆も言えるからです:
4x+5=17 ⇐ 4x=12 ⇐ x=3.
右の ⇐ は両辺を4倍し、左の ⇐ は両辺に5を加えればいいからです。つまり、同値変形を意識して書けば次のようになります:
4x+5=17 ⇔ 4x=12 ⇔ x=3. ▮
注:"⇔" を使うときには必ず ⇒ と ⇐ を確認してくださいね(※2)。1次方程式・1次不等式くらいならかんたんに同値が確認できますが、一般の式となると神経を使うものです。▢
補足 一般に a=b ⇒ ac=bc の逆は成り立ちません。高校数学Ⅰの真偽や必要・十分条件ではお馴染みの問題です。c \neq 0 のとき、a=b ⇔ ac=bc です。
ただし、a, b, c \in \mathbb{C} とします。
※1 高校数学Ⅰで「同値」を学び、いまだと高校数学Ⅱの《式と証明》で同値変形を学ぶと思います。これ以降は授業の説明でも同値変形が意識されると思います。実際はどうでしょうか。受験指導の中での記述方法と通して学ぶのかもしれません。同値をあまり意識せずに解いているのが現状だと思います。
※2 集合・位相や代数の証明では、取り敢えず "⇒" で議論を進め、その後に逆を確認して同値であること示すことがあります。
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