2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ ・・・① の解は2次関数 $y=ax^2+bx+c$ ・・・② において $y=0$ となる $x$ の値と言い換えることができます。つまり方程式の解は、関数のグラフと $x$軸との共有点として現れるということです。ただし、$x$ は実数変数とします。
結論 2次方程式①の解と2次関数②のグラフと$x$軸との共有点について
[Ⅰ] ①の実数解が2つ ⇔ ②の共有点が2つ ⇔ $b^2-4ac>0$
[Ⅱ] ①の実数解が1つ ⇔ ②の共有点が1つ ⇔ $b^2-4ac=0$
[Ⅲ] ①の実数解がない ⇔ ②の共有点がない ⇔ $b^2-4ac<0$
が成り立つ。▮
解説
いま $a\neq 0$ である(※1)から、2次関数 $y=ax^2+bx+c$ を平方完成すると
$y=a(x-\dfrac{b}{2a})^2-\dfrac{b^2-4ac}{4a}$
となります(※2)。このとき $a$ の符号によって放物線が下に凸か上に凸かが決まります。
[Ⅰ] (1) $a>0$ のとき 放物線は下に凸
グラフが $x$軸と2点で交わる ⇔ 方程式が2つの実数解をもつ
グラフが $x$軸と2点で交わる ⇔ 頂点の $y$座標がマイナス
⇔ $-\dfrac{b^2-4ac}{4a}<0$
⇔ $b^2-4ac>0$
(いま $a>0$ であるから $-4a<0$である。これを両辺に掛けて変形した)
(2) $a<0$ のとき 放物線は上に凸
グラフが $x$軸と2点で交わる ⇔ 方程式が2つの実数解をもつ
グラフが $x$軸と2点で交わる ⇔ 頂点の $y$座標がプラス
⇔ $-\dfrac{b^2-4ac}{4a}>0$
⇔ $b^2-4ac>0$
(いま $a<0$ であるから $-4a>0$である。これを両辺に掛けて変形した)
したがって [Ⅰ] が確認できました。
以下同様にして [Ⅱ], [Ⅲ] についても得られます。
[Ⅱ] (1) $a>0$ のとき 放物線は下に凸
グラフが $x$軸と1点で交わる ⇔ 方程式が1つの実数解をもつ
グラフが $x$軸と接する ⇔ 頂点の $y$座標が0
⇔ $-\dfrac{b^2-4ac}{4a}=0$
⇔ $b^2-4ac=0$
(2) $a<0$ のとき (省略)
[Ⅲ] (1) $a>0$ のとき 放物線は下に凸
グラフが $x$軸と交わらない ⇔ 方程式が実数解をもたない
グラフが $x$軸と交わらない ⇔ 頂点の $y$座標がプラス
⇔ $-\dfrac{b^2-4ac}{4a}>0$
⇔ $b^2-4ac<0$
(2) $a<0$ のとき (省略) ▮
動機
今回この話をしたのは、2次関数のグラフを用いて考えるときに、頂点のy座標について考えることと判別式 $b^2-4ac$ が同値であることを確認したかったからです。高校生の頃にこのことを知らず、両方を答案に書いたことがあったからです。
いま手元になる高校数学Ⅰの教科書にはこの説明が書かれていません。これがその助けになればと思います。▢
※1 もしも $a=0$ だと2次方程式, 2次関数でなくなります。
※2 平方完成については 19.14「平方完成の補遺」をご覧ください。
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