本題は少し下からです。その前に材料の紹介です。 今回はクイズが2つあります。
問題 連立方程式 \begin{cases} 3x-2y=-11 \\ y=2x+7 \end{cases} を解け。
まずは教科書に書かれているふつうの方法です。
解答 下の式を上の式に代入して
3x-2(2x+7)=-11,
-x-14=-11,
x=-3.
これを下の式に代入して
y=2・(-3)+7=1.
よって
(x, \: y)=(-3, \: 1). ▮
同値変形で書くと次のようになります。
\begin{cases} 3x-2y=-11 \\ y=2x+7 \end{cases} ⇐①⇒ \begin{cases} 3x-2(2x+7)=-11 \\ y=2x+7 \end{cases}
⇔ \begin{cases} x=-3 \\ y=2x+7 \end{cases}
⇔ \begin{cases} x=-3 \\ y=2・(-3)+7 \end{cases}
⇔ \begin{cases} x=-3 \\ y=1 \end{cases}.
①の同値で式 y=2x+7 を添えているのがポイントです。それぞれの同値の理由は前回とほぼ同じなので省略します。これをみて分かるように上の解答は同値を意識しています。下の式 y=2x+7 に代入して y を求めているからです。
ここから本題です。
クイズ1 解答で x=-3 を下の式 3x-2y=-11 に代入しても y=1 です。このように、上の式でなく下の式に代入して y を求めても同値変形になっているのでしょうか。
ちょっとだけ考えてみてください。
これは中学時代のガッコのセンセが
「代入法は代入して得た結果をもう一方の代入する式に入れなければいけない。代入した方の式で計算したのでは一方の式しか満たしていない」
というようなことをおっしゃっていたのを思い出しての出題です。高校時代のセンセは
「計算がかんたんそうな方に代入する方がいい」
とおっしゃっていました。
クイズ1の答え 同値変形になっています。
怪しいですよね、確認してみます。
\begin{cases} 3x-2y=-11 \\ y=2x+7 \end{cases} ⇐①⇒ \begin{cases} 3x-2(2x+7)=-11 \\ 3x-2y=-11 \end{cases}
⇐②⇒ \begin{cases} x=-3 \\ 3x-2y=-11 \end{cases}
⇐③⇒ \begin{cases} x=-3 \\ 3・(-3)-2y=-11 \end{cases}
⇐④⇒ \begin{cases} x=-3 \\ y=1 \end{cases}.
①~④の ⇒ は省略し、⇐ を確認します。
④の⇐について:y=1 ⇒ -2y=-2 ⇒ 3・(-3)-2y=-11.
③の⇐について:下の式の (-3) を上の式を使って x に変える。
②の⇐について:x=-3 ⇒ 2x=-6 ⇒ 2x+7=1
⇒ -2(2x+7)=-2 ・・・[1],
x=-3 ⇒ 3x=-9 ・・・[2].
[1], [2] を辺々加えると
3x-2(2x+7)=-11.
①の⇐について:3x-2(2x+7)=-11, \: 3x-2y=-11
⇒ 3x+11=2(2x+7), \: 3x+11=2y
⇒ 2y=2(2x+7) ⇒ y=2x+7.
逆向きもいえたので確かに同値変形になっています。▮
まだ怪しいと思っている人も少なくないと思います。たぶんそれは次回の「代入法 [後]」で解決すると思います。ここに代入法を2つに分けた理由があります。次のクイズを考えておいてください。▢
クイズ2 連立方程式 \begin{cases} y=x^2 \\ y=2x+8 \end{cases} を次の解答例のように解いても良いでしょうか。
解答例 上の式から下の式を引くと
0=x^2-2x-8,
0=(x+2)(x-4),
x=-2, \: 4.
これらをそれぞれ上の式に代入して
x=-2 のとき y=(-2)^2=4,
x=4 のとき y=4^2=16.
よって
(x, \: y)=(-2, \: 4), \: (4, \: 16). ▮
この連立方程式は中3数学で現れる形ですね。解答解説は次回です。
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