2021/09/29

数学オンチの私が数学苦手から脱した方法④【最後】 ~数学の苦手を克服したい人へ~

「数学苦手から脱した方法」ということで番外編を含めて4回書いてきましたがこれで終わりです。noteで連載している『理一の数学事始め』は昔の自分を想定して書いているので、どのように克服したかも織り込んでいます。


もしも小中高生がこのブログを読んでくれているのなら、授業の予習を勧めます。

もしも大学生がこのブログを読んでくれているのなら、授業とは別に授業で指定された数学書を読み切ることを勧めます。読み方は謎の数学者さんのYouTubeをご覧ください。

小中高生の予習はいま学んでいるところの先を読むのが予習ですが、さっぱり分からないのであれば自分の解るところまで戻るしかありません。場合によっては小2算数のこともあると思います。その内容が代数的(計算)なことか、幾何的(図形)なことか、解析的(関数・グラフ)なことかで変わるので、何でもかんでも小2算数ということはないと思います。幸い学校の数学は学びやすいように区分けされていますね。もしも計算が苦手なら、小学算数の計算ドリルをやる必要があるのかもしれません。必要か否かは自分で教科書や参考書を読んで、もしくは教師の説明を聴いていてついていけるかどうかで判断します。中学受験や私立の高校受験のような難しい問題は必要ありません。

さて予習ですが、教科書の説明を読んで理解できているか否かは例や例題が自力で解けるか否か、次にそれに続く問題が解けるか否かで判断できます。最初は気張らず、取り敢えずノートに大事だと思うことや理解できたことをメモし、例や例題、問題を単に解きましょう。そのうち自分なりの方法が見つけられます。この予習で最も大切なことは、自分が理解したと思うことでもきちんと教師の話に耳を傾けることです。それによって知識が整理されるし理解が深まり数学の見方も変わると思います。自分の誤りにも気づけます。やってみると学校の授業はそれほど早くないことに気づくと思います。そういう場合はどんどん先に進めてください。ゲームだってどんどん先に進めますよね。高校数学Ⅲを超えて大学数学の線形代数や微積分へと進んでもいいと思います。


『理一の数学事始め』は中学から高校数学Ⅰまでの代数編、現在は幾何編 (小学算数から高校数学Ⅰまで) を書いていて、2021.9.27から円の話を書いています。幾何編後は中学から高校数学Ⅰまでの解析編を書きます。その後、数学Ⅱへと進み数学B, 数学Ⅲは大学数学を絡めて書こうと思っています。


解くべき問題は教科書程度の問題で十分です。


解法を暗記するのは数学ではありません。受験数学の勉強はそうなりがちですが数学の力がつくとは思えません。大学以降の現代数学を学べばそれが解ると思います。

これは私だけでなく周囲にきいても同じでしたが、大学以降の数学をきちんと学べば高校数学の問題はかんたんに解けるようになります。難関大学や数学オリンピックなどで出題される難問は除きますがそういうもののようです。謎の数学者さんの言説を借りればMMの向上によるものだと思います。

数学をクイズやパズルとしてたのしむのもありますが、数学はそれ自身がおもしろいものです。例えば、歴史クイズを解答するよりも歴史を学ぶ方がおもしろいし、難読漢字が読めることより小説や古典を読む方がおもしろいですよね。▢

2021/09/25

YouTubeの再生速度と視聴時間 ~比例・反比例【基本の確認】

比例・反比例は小学6年の算数で学び、次に中学1年の数学で学びます。この違いは数の概念でしかありません。小学算数は0を含む正の有理数の世界ですが、中学数学1は有理数の世界です。 でもどちらもグラフを扱いそのグラフが連続なのでそれぞれ0を含む実数の世界と実数の世界というべきかもしれませんが、実数を認識するのは中学数学3以降ですね。

比例の概念は線形代数・微分積分に引き継がれ多変数の微分積分で再び結びつきます。この捉え方は 森 毅 著『線型代数――生態と意味』(日本評論社) からの借用です。

現在は下記の通り ちくま学芸文庫 で出版されています。この本は教科書でなく読本です。右の数学セミナー(1979.5-1980.8) での連載を本にしたものなので、大学1,2年生もしくは一般向けの啓蒙書と考えていいと思います。 

 


比例が線形代数に繋がることは線形性

                f(x+y)=f(x)+f(y), f(ax)=af(x) (x,y∊V, a∊K 体K上の線形空間V)

から直ぐに解りますが、微分積分への繋がりは森毅氏の本を読むまで気づきませんでした。


(ここから本題)
教育カリキュラムとして小学6年、中学1年で比例・反比例を扱うのは理科(物理)での準備だとみています。なぜなら比例・反比例を導入するときに表を用いて一方が2倍、3倍に変化したときもう一方はどのように変化しているかを考えさせますよね。それに定義を明確にしないうちに2つの変量の問題で比例か反比例かそうでないかを考えさせます。これは実験データの読み取りをさせているので、おもりとばねの伸び(フックの法則)、うでの長さとおもり(てこの原理)、電流と電圧(オームの法則)を学ぶ準備なのだと思います。(※0)


比例の定義)2つの変量 x, y に対して、一方が他方の実数倍で表現できるとき xとy は比例するといい、その実数倍を比例定数という。

反比例の定義)2つの変量 x, y に対して、2つの積x・yが一定であるとき xとy は反比例するといい、その実数倍を比例定数という。

この定義から比例については、xが2倍、3倍するとyも2倍、3倍することやxの2つの値a, b の比とこれに対するyの値の比が等しいことが判ります。(※1)
反比例についてもxが2倍、3倍するとyは1/2、1/3になることやxの2つの値a, b の比に対してyの値の比は逆比に等しいことが判ります。(※2)

例えば、速さ×時間=道のり という関係式から、「時間と道のり」または「速さと道のり」は比例するので、時間が2倍になれば道のりは2倍、速さが2倍になれば道のりも2倍になることが判ります。また、「速さと時間」は反比例するので速さが2倍になれば時間は1/2、時間が半分になれば速さは2倍ということが判ります。

実例:YouTubeは再生速度が変更できますね。そこで、再生速度を2倍にすれば視聴時間は1/2になります。つまり12分の動画は倍速で視聴すれば6分です。では同じ動画を1.5倍速で再生したら何分で視聴できるでしょうか。

1.5倍速ということは時間は逆比になるので1.5=3/2より視聴時間は2/3になります。したがって 12分×2/3=8分 です。(※3)
もしも1.75倍速なら1.75=7/4なので視聴時間は4/7になります。12分×4/7=48分/7≒7分です。もう少し細かく言えば、48分/7=6分+6分/7 で 6分/7=360秒/7=51秒+3秒/7なので、6分51秒と3/7秒です。7分弱と判断するのが実用的ですね。▢


雑誌 数学セミナーを紹介したので他の数学系雑誌も紹介しておきます。
左は『現代数学』で数学色が強く、右は『数理科学』で物理色が強いと思います。大きな書店に行くと置いてあると思うので立ち読みしてみてください。



※0 小学校でも中学校でも高校でも、なぜか理科(物理・化学)で算数・数学で学んだ知識を使っての指導はされませんでした。この場合はこう解くという暗記中心の教え方でした。こういうのがとても苦手でした。地図の縮図でも同じで苦戦しました。まあ、数学が苦手、いや勉強が苦手だったのでどう教えられても変わらなかったのかもしれませんけどね。

※1 y=ax において、xをk倍したkxで考えあるとyの値はa(kx)=k(ax)=kyとなるのでxをk倍するとyもk倍されます。また、xが u, v のときのyの値をそれぞれU、Vとすると U:V=au : av=u : v となります。 

※2 y=a/x において、xをk倍したkxで考えあるとyの値はa/(kx)=(1/k)(a/x)=(1/k)yとなるのでxをk倍するとyは1/kになります。また、xが u, v のときのyの値をそれぞれU、Vとすると U:V=a/u : a/v=1/u : 1/v=v : u となり、比が逆になります。 

※3 逆比になるというのは、反比例なのでk倍すると 1/k になることを言っています。
  見方を変えると、速さの比が 1:k と考えると時間の比は逆比の k : 1=1 : 1/k となりますね。逆比はこのように2通りの意味で使われるので混乱しがちです。
 

2021/09/22

教科書の読み方と問題の役割 ~数学の苦手を克服したい人へ(番外編)~

今回の主題は教科書の読み方です。
数学をたのしむには自分で本が読めるようになることです。何もかも人から教えてもらうというのは中高くらいまでかと思います。中学・高校の卒業後は独自で本などを読みいろいろな知識を付けてきたと思います。いや、多くの人は小学生のうちから本によっていろいろなことを学んできたと思います。ゲームでも鉄道でも競技でも本を頼りに楽しんできたと思います。数学もそこは同じです。

数学の教科書は読み難いといわれますが、それは過去に学んだ専門用語が既知のものとして使われるからだと思います。なので私自身は国語辞典を横に置きながら読んでいました。調べてみると結構いろいろ載っています。単語だけでなく助詞の使い方も調べてました。特に「の」「対して」「それぞれ」は何度も調べた記憶があります。洋書を読むような感じで読んでいました。洋書と同じでいつの間にか調べなくても読めるようになってました。

以前にも書いたと思いますが、新しい概念のところはしっかりと読みました。理解ができているときは、内容を確認する例やその問題も難なく解けました。例や例題は理解を助けてくれるので大切です。

教科書に書かれている問題は理解を深めるためにあります。例題もそのためです。つまり、例題の解説を読まないと解けないということは理解が不足していると考えられます。解説を読んで理解したのなら、その前に書かれていたことはだいたい理解したと考えられます。もしも解説通りにやったら答えが出せたという状態なら節末問題は解けないと思います。

節末問題が解けないということは理解不足なので新しい概念を確認しましょう。教科書に書かれている問題は理解を深めるためにあります。これは章末問題でも同じことが言えます。なので参考書で解き方を覚えても偏差値は上がるかもしれませんが数学の力はつきません。数学をたのしむには解答を覚えるのではなく理解を深めることです。

受験生にはこんな悠長なこと言ってられませんね。受験は時間との勝負なので如何に早く解くかが問われますから。数学の苦手を克服した頃はたのしかったけど、受験生活に入ってからおもしろさが半減したのはこのためだったのだと思います。

教科書に載っている解答は答えだけがほとんどでときどきヒントがあるくらいだとおもいますが、理解が深まるとほとんど何の問題もありません。いまは教科書ガイドも売られているのでそういう心配はいらないですね。

教科書が手に入らない人はこれまでも紹介してきた下の参考書・問題集で十分です。YouTubeで「数式は文である」を連載していますが数学の苦手な人には難しい内容だと思います。

2021/09/18

三等分問題

 数学で三等分問題ときたら「角の」三等分問題が頭をよぎる人が多いと思います。今回の話はその問題ではないのですが、この話もしようと思っているので軽く触れておきます。

       【角の三等分問題】「一般に角の三等分は作図可能か」

この問題は解決されていて不可能です。ここで注意することは作図の定義ですが、これについては『数学事始め』10.14「基本作図」をご覧ください。不可能であることを証明するときにガロア理論が使われます。


(ここから本題)
みなさんはタオルをどのように畳んでいますか。半分の半分の半分と畳みますか、それとも半分の半分にしてから丸めますか。私は半分の半分にしてから3つ折りに畳んでいます。タオルや手紙の3つ折りはおおよそで問題ないのでらくなのですが、長方形の紙をきっちり三等分するとかいう場面はときどき身近に起こると思います。縦または横が3の倍数の長さなら問題ないのですが、そう都合のいい紙というのはありませんね。そういうときどうするかというのが話のテーマです。


問題
 縦14㎝、横21㎝の長方形を3等分し縦が21㎝の短冊を3枚作ってください。


この問題を解くカギは『理一の数学事始め』12.2 なので多くの人が知識として持っているのですが、そうかんたんに気づかないと思います。こういうのは時間が掛かっても気づくのが大切だし、気付かなくても解答をみて理解することが大切です。どのように考えて知識を使ったかが理解できればそれは知恵になると同時に知識の深い理解になります。


解答
 図が答えです。3等分しやすい長さ(15と18)を斜めに測り取り三等分点(黒点)を取ります。これを2組取って線で結んだのが切り取り線(赤線)となります。


今度このような困難があってもかんたんに解決できますね。

数学はたのしむものです。『まちがったっていいじゃないか』



補足 12.2の問題 1) もしくは※2をごらんください。

2021/09/15

数学オンチの私が数学苦手から脱した方法③ ~数学の苦手を克服したい人へ~

12.3 平行線の幾何Ⅱ(三角形と線分比②および内分・外分)からの抜粋です。 

"数学は出来る限り自分の脳で考える方が力がつくということを踏まえると、解答や証明をきちんと書いてしますのはその人の学びを阻害しているのではないかと思ってしまいます。だから証明や解答を見る前に、3分、5分、10分、...3時間...と時間を決めて考えるようにしてみてください。" (抜粋了)


苦手から脱したとき、たくさんの問題を解いたとか難しい問題を解いたとかで脱したのではありません。最初に使ったものは志望校(だった)過去問です。難易度は教科書の例題から節末問題くらいだったと思います。

なので苦手を脱したいなら問題を数こなすことでなく、難しい問題を解くことでもなく、教科書の節末問題くらいまでが自力で解けるようになることだと思います。そのためには自分なりに理解するまで考えることです。その理解する部分というのは例題の解説でなく、各章のはじめや各節で新しい概念を説明しているところです。

理解が深まれば例題の解説を見なくても解けるようになります。解けなかったとしても解説がかんたんに理解できるようになります。考えればそれだけ理解が深まるので例題だけでなく節末問題も解けるようになります。解けないということは理解がまだまだ浅いと思ってください。▢

※ 謎の数学者さんの「数学の教科書の読み進め方。」は参考になります。


学び直しをされているなら、基本事項がきちんと書かれている問題集や参考書、例えば下2冊のシリーズで十分です。たとえ大学数学を学びたいとしても十分です。早く問題が解けるとか、難しい問題が解けるとかは関係ありません。新しい概念が理解できるかどうかです。



(補足)
数学科に入学してくる人たちは教科書程度の問題なら楽に解けます。中には入試問題の達人のような人もいます。でも現実は大学数学で打ちのめされてしまうのです。いくら解答を暗記しても数学はその暗記したものを書くものではないからです。

数学との付き合い方についてもこれまで書いていますが、自分が理解できるところまで戻って学び直した方が早く進めます。自分の歩調で数学をたのしんでください。幸い、小中高の数学は学びやすいように分野別になっています。先ずは計算の苦手から脱してください。早く解けることでなく、教科書程度の難易度なら時間を掛ければ解けるという自信が持てれば脱したとみていいと思います。

2021/09/11

初等幾何で見つけた等比中項(等比数列) 

 命題33(直角三角形の相似)
角Cを直角とする直角三角形ABCの頂点Cから斜辺に垂線を下ろしその足をHとすると次が成り立つ。

(1)相似な三角形が3つできる:△AHC∽△ACB∽△CHB,
(2)CH^2=AH・BH(CHの自乗はAHとBHの積に等しい),
(3)AC^2=AH・AB(ACの自乗はAHとABの積に等しい).▮


これは『理一の数学事始め』12.10「直角三角形の相似」で紹介した命題なのですが、この
(2), (3) は覚えやすいと思うのです。ただしそれには条件があって、その条件は「高校数学Bで学ぶ等比数列および等比中項を知っている」です。

これを前提にすると(2), (3) は次のように書けます。 

(2) 垂線とそれによって断たれた斜辺の2つの部分は垂線を等比中項とする等比数列を成す。つまりAH, CH, BHはこの順で等比数列を成し、CH^2=AH・BH.

(3) 元の三角形の直角でない頂点を共有する3つの線分は元の三角形の直角の挟辺を等比中項とする等比数列を成す。つまりAH, AC, ABはこの順で等比数列を成し、AC^2=AH・AB.


どうでしょう、覚えやすいと思いませんか。上で使った数学用語を確認しておきます。

数列とは数の並びのことで、等比数列とはその数の並び順に比を取るとその比が等しいということです。特に3数が等比数列を成すとき、真ん中の数を等比中項といいます。

例えば、3, 1, 4, 1, 5, 9, 2, ... は1つの数列で、3, 6, 12, 24, 48, 96, ... は等比数列を成しています。
なぜなら順に比を取ると6/3, 12/6, 24/12, 48/24, 96/48 となりこれらはすべて2に等しいからです。
3数3, 6, 12 は等比数列を成しています。
したがって 6/3=12/6 であり、変形すると 6^2=3・12 が成り立ちます。
特に、a, b, c が等比数列を成しbが等比中項であれば b/a=c/b であることからb^2=ac が成り立ちます。

左)黒須康之介著『平面立体 幾何学』新数学シリーズ2(培風館)
右)寺阪英孝著『幾何とその構造』(日本評論社)


この命題は黒須の87ページに紹介されていますが、そこでは等比中項でなく比例中項という用語で書かれています。同じ命題は寺阪にも書かれていますが、そこには数式で書かれているだけです。この2冊ともピタゴラスの定理を証明するために書かれています。

この2冊は絶版ですが、初等幾何の本はいろいろあるので書店やネットで見つけられると思います。実物を見ないで買うときは慎重に。専門書はそうそう書店に置いてないので仕方ないですけどね。▢

下の画像が上の2冊です。左 黒須(B6), 右 寺阪(B5)。( )は大きさです。




2021/09/08

数学オンチの私が数学苦手から脱した方法② ~数学の苦手を克服したい人へ~

高校に入学して最初の数学の授業で

      「x^2 と 2x の違いは分かっているか」(x^2 はxの2乗の代用)

と話されたときに指名されたりしないかと冷や汗をかきました。読者はこのブログやnoteを読んでくれるくらいなのでそれくらい朝飯前なのでしょうが、当時の私にはその違いも曖昧でした。

苦手から脱する切っ掛けはnote1note2を譲ることにして、肝心のどうやって苦手から脱したかですが、結論は計算の克服でした。この習得過程で身に着けた「約束に従うこと」は現代数学を学ぶ上でも生きています。


数学を始めたのは高校1年の夏休みからです。その時の知識量は、理屈も意味も解らないけど展開・因数分解を高校の授業で習って答えが出せる程度でした。

最初に取り組んだのは高校受験時に買った志望校の過去問です。1⃣は計算、2⃣は一行問題、3⃣以降は方程式の文章題、関数、図形などでよくある配列のものでした。1⃣の計算を取り敢えずやってみて解けなかった問題を一つ一つ自分が納得するまで考えることを続けました。この1⃣の中に約束記号問題もあり、この問題を理解すると同時に定義(約束)というものを理解しました。これによりx^2と2xも理解し、等号の意味も理解でき、方程式だけでなく小学算数がいい加減だったことにも気づきました。過去のブログ「因数分解や展開は数の計算にも使える」や「0=1の証明 ~小学算数の等号「=」は「等しい」という意味なのか~」はこの頃に発見したことです。前回の具体的に考えるというのもこの頃に身に着けました。


数学の苦手から脱したいなら計算を克服することです。でも意味も解らずに解いて答えが合うようになることではありません。計算の意味を理解し、正誤が自分で判断できるようになることが目標です。難しめの問題・式が複雑な問題が解けるようになることではありません。こういう問題は苦手から脱したらだんだん出来るようになります。

では具体的な教材はというと教科書や傍用問題集で十分です。それがなければ『理一の数学事始め』のシリーズ1から8までを使ってください。中学数学1から高校数学Ⅰまでの内容をカバーしています。計算のきまり(+-×÷の計算順序)はシリーズ1に書いています。

高校、中学の問題集が必要なら下2冊のシリーズで十分です。否、自分は京都大学や灘高校を考えているのであれば不十分かもしれませんが、そういう人はこのブログに辿り着くことはありません。白チャートは問題集として十分使えます。小学算数で選ぶなら難しくない計算ドリルを選んでください。もう一度触れますが、理解が深まればだんだん難しめの問題も解けるようになります。▢

 


2021/09/04

数学オンチの私が数学苦手から脱した方法 ~数学の苦手を克服したい人へ~

数学オンチだった昔の自分が、数学が苦手でなくなった一つの方法を紹介します。尚、数学が苦手でなくなっても数学オンチでなくなったかは別の話です。


数学を苦手としている人に、どれほど正しい主張を説明しても理解させるのは困難です。例えば、因数分解の公式が間違っているというのは簡単ですが、なぜを理解させるのは簡単ではないということです。

単に答えが合うように教えるのはまったく別の話で、受け入れる側が嫌がらない限り簡単です。そうではなく、数学の苦手な人や苦手と思っている人がきちんと理解したいという場合、説明するには解っているところまで戻って一から確認していくしかありません。もしくは、小中高で教えている数学がかなりいい加減であることを納得される方が早いかもしれません。苦手もしくは苦手意識というのは、自分が何を理解しているのかがうまく認識できていない状態だからです。


12.2 平行線の幾何Ⅱ(三角形と線分比)から一部抜粋します。

命題31の系を正しく覚えるのは難しいようです。1) と2) をごっちゃにしてよくAD:DB=DE:BCと覚えてしまいます。Dが中点のときを考えれば明らかに成り立たないのですが、数学が苦手だとそれも難しいようです。これと同じことが展開式でも起こりますね。▢


(以上抜粋了)

具体的に考えるところに数学的な問題があったとしても、正しい考えをしているか否かの判断にはなります。ここでわかってほしいのは、正誤が自分なりに判断できるという点です。自分なりにとはいえ正誤が判断できるというのは大切なことです。みなさんがどう思われるかは分かりませんが、数学ではよくある話に自分の答えが正しいか否かを解らずに暗記した通りに解答し点数を取る人たちがいます。正誤が判断できなくて不安にならないのでしょうか。

さてこの具体的に考えるというのは数学者もします。一般化していて分かり難いときには具体例で考えます。常に一般的議論で考えていると思っていたのなら、それは幻想です。現代数学は抽象化されていますが、その前には具体的例や課題があるのです。コンパクト空間、n次元多様体、p進付値...なんじゃこれは思いますが、必要の結果生まれたものです。▢


藤原正彦著『数学者列伝 天才の栄光と挫折』 
文庫版になり手に取りやすくなっていました。こういう柔らかい本もおもしろいですよ。小川洋子さんの『博士の愛した数式』をおもしろいと思ったのなら、この本もおもしろいと思います。ニュートン、ガロア、ラマヌジャンに関孝和も取り上げられています。

2021/09/01

なぜ三角形を考えるのか

中高の数学を学ぶと、至る所に三角形が登場しますね。三角形の合同、三角形の相似、ピタゴラスの定理は直角三角形に関する定理です。そして高校数学で三角比を学びます。

三角形の面積公式もいろいろ学びます。(大文字のSは三角形の面積を表します)
S=(1/2)ah (底辺×高さ÷2 のこと)

S=(1/2)absinθ (2辺a, b とその挟角θ)

S=(1/2)r(a+b+c)  (a, b, c を3辺とする三角形とその半径rの内接円)

S=√s(s-a)(s-b)(s-c)       (a, b, c を3辺とし、s=(a+b+c)/2)

S=(1/2)√(|a|^2|b|^2-(ab)^2)  (2つのベクトルa, bの成す三角形)

S=(1/2)|ad-bc|  (原点Oと2点A(a, b), B(c, d)の作る三角形OAB、縦棒は絶対値)

三角形の面積公式ですぐに思い浮かぶものだけでこれだけあります。でもこれらはすべて底辺×高さ÷2からの派生です。すべてに1/2が共通しているので分かりやすいですね。

位相幾何には三角形分割(単体分割)というのがあります。
なぜこんなにも三角形を考えるのかは、カメラの三脚が答えを教えてくれてますね。四角形や五角形などの多角形で合同条件を考えようとすると、条件がn角形のnよりも多くなることに直ぐに気づくと思います。三角形の合同条件は3つ(二辺挟角など)で済みました。

さて、カメラの三脚が答えを教えてくれているというのは、3点が決まれば三角形が1つ決まります。別な見方をすれば平面が1つ決まります。平面を決める最小単位が3点なので、自然に三角形を考察することになるのです。ピタゴラスの定理が早くに発見されたのも土地の測量に直角三角形を利用したからだと思います。

数学では三角形を考えるのは自然ですが、本やノート、パソコン、冷蔵庫、部屋が三角なのは困ります。まして目を三角にされでもしたら...。▼▼でなく△△なら安心ですけど。▢

ちょっと・・・それは・・・ ~ 定義とその周辺の話 ~

内容的には高校数学なのですが高校生には難しいと思います。ただ高校生であっても定義・定理(命題)・公理の区別が出来ているのであればおもしろいと思うし、数学教師志望の教育学部や数学科の学生には興味深い話だと思います。 現在、 『数学事始め』 では指数関数・対数関数の話をしています...