数学オンチだった昔の自分が、数学が苦手でなくなった一つの方法を紹介します。尚、数学が苦手でなくなっても数学オンチでなくなったかは別の話です。
数学を苦手としている人に、どれほど正しい主張を説明しても理解させるのは困難です。例えば、因数分解の公式が間違っているというのは簡単ですが、なぜを理解させるのは簡単ではないということです。
単に答えが合うように教えるのはまったく別の話で、受け入れる側が嫌がらない限り簡単です。そうではなく、数学の苦手な人や苦手と思っている人がきちんと理解したいという場合、説明するには解っているところまで戻って一から確認していくしかありません。もしくは、小中高で教えている数学がかなりいい加減であることを納得される方が早いかもしれません。苦手もしくは苦手意識というのは、自分が何を理解しているのかがうまく認識できていない状態だからです。
12.2 平行線の幾何Ⅱ(三角形と線分比)から一部抜粋します。
命題31の系を正しく覚えるのは難しいようです。1) と2) をごっちゃにしてよくAD:DB=DE:BCと覚えてしまいます。Dが中点のときを考えれば明らかに成り立たないのですが、数学が苦手だとそれも難しいようです。これと同じことが展開式でも起こりますね。▢
(以上抜粋了)
具体的に考えるところに数学的な問題があったとしても、正しい考えをしているか否かの判断にはなります。ここでわかってほしいのは、正誤が自分なりに判断できるという点です。自分なりにとはいえ正誤が判断できるというのは大切なことです。みなさんがどう思われるかは分かりませんが、数学ではよくある話に自分の答えが正しいか否かを解らずに暗記した通りに解答し点数を取る人たちがいます。正誤が判断できなくて不安にならないのでしょうか。
さてこの具体的に考えるというのは数学者もします。一般化していて分かり難いときには具体例で考えます。常に一般的議論で考えていると思っていたのなら、それは幻想です。現代数学は抽象化されていますが、その前には具体的例や課題があるのです。コンパクト空間、n次元多様体、p進付値...なんじゃこれは思いますが、必要の結果生まれたものです。▢
藤原正彦著『数学者列伝 天才の栄光と挫折』
文庫版になり手に取りやすくなっていました。こういう柔らかい本もおもしろいですよ。小川洋子さんの『博士の愛した数式』をおもしろいと思ったのなら、この本もおもしろいと思います。ニュートン、ガロア、ラマヌジャンに関孝和も取り上げられています。
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