2021/06/12

sinx°/xの極限とsinx°の微分

 度数法は人工的に作ったもので、図形に内在したものではありません。3週前の『不自然な度数法』に書いた通りです。


なぜ、度数法が高校数学Ⅱから使われなくなったのか。最大の理由は、微分にあると思われます。取り敢えず、sinx° の導関数を求めてみます。


f(x)=sinx°とおくと,

            f(x+h)-f(x)=sin(x+h)°-sinx°=sinx°cosh°+cosx°sinh°-sinx°
                                           =sinx° ・(cosh°-1)+cosx°sinh°.

             sinh°/h→ π/180,(1-cosh°) /h→0(h→0のとき)

であるから,

         (f(x+h)-f(x)) / h→ (π/180) cosx°(h→0のとき

となる.よって,

              (sinx°)′=(π/180) cosx°.▮

下を参照ください。


微分をする度に、π/180が出てくるのは煩わしいですね。sinxとは大きな違いです。▢



最近は、大学の教科書でもわかりやすい本が増えたので、高校数学Ⅲを学んでいなくても大学以降の数学が学びやすくなりました。

高校数学Ⅲは難しいと思われがちですが、数学ⅠAⅡBと比べたら、かなり易しいと思います。計算ばかりだから当然です。数列の極限、関数の極限とか級数を扱ってはいますが、形ばかりです。実数論をやる訳にはいかないので、当然ともいえます。数学Ⅲの内容は、専門書で学ぶことをお薦めします。でも、高校生は教科書で学んでください。


高校数学ⅠAⅡBがしっかり学べているのなら、一月集中すれば高校数学Ⅲの内容は習得できると思います。計算と理論とに分けて捉え、理論的なところは後回しでいいように思います。きちんとやるには道具が足りません。昔の数学科は、イプシロンーデルタ論法で多くの学生が躓き、数学科入学を後悔したものです。
高木の『解析概論』、杉浦の『解析入門』は有名な本ですが、初学者にはお薦めしません。

各大学の推薦図書には、読みやすい本が紹介されていると思います。まずは、計算習得を主にし、だいたいの理論構成を知り、その後にきちんとした理論を学ぶのがいいと思います。もしも大学で難しい本しか推薦図書に挙げていないのなら、次の2冊は読みやすいと思います。いずれも教科書でなく、読み物です。

左)小林昭七著『微分積分読本 1変数』(裳華房)
は過去にも紹介していますが、演習がないので、他に演習書が必要だと思います。

右)志賀浩二著『微分積分30講』(朝倉書店)
は30講シリーズの中の一冊で、シリーズ10の中の5冊は所蔵もし、読みました。この微分積分は読んでなく、所蔵もしていません。微積は大学推薦図書で学びました。



最後に、数学を学びたいのなら、受験参考書のような数学書はお薦めしません。▮

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ちょっと・・・それは・・・ ~ 定義とその周辺の話 ~

内容的には高校数学なのですが高校生には難しいと思います。ただ高校生であっても定義・定理(命題)・公理の区別が出来ているのであればおもしろいと思うし、数学教師志望の教育学部や数学科の学生には興味深い話だと思います。 現在、 『数学事始め』 では指数関数・対数関数の話をしています...