2021/04/21

数学学習の基本の基

 数学オンチだった頃、数学のテストで数学のできる人(=高得点を取る人)というのは、授業を一回受けただけで、独力で解法を見つけて解いているのだと思っていました。

数学科に入ってからも、そう思っていました。小学校の頃の級友と矢野健太郎氏か小平邦彦氏のエッセーが要因だと思います。実際は、そういう人(=数学のできる人)は極めて稀で、多くは塾で解法を教えてもらったとか、参考書で解き方を覚えたとか、中には解法の丸暗記をしている(=高得点を取る人)ということを、数学を教えるようになってから徐々に認識しました。できる≠高得点をとる、だったのです。

数学ができるようになりたいなら、基本を大切にしてください。そして納得がいくまで考えましょう。理解が進まないのなら、それは以前に学んでいることをきちんと理解しない可能性が高いと思います。これを自分で見つけるのは大変なので、こういうときは数学の先生や数学のできる友人に頼りましょう。ただ、頼りすぎると数学はできるようになりません。時間はかかりますが、自分で考え抜くことが基本の基です。

基本というのは、教科書でいうと最初の導入部をきちんと理解することです。次に定義を覚え定理の意味を理解することです。計算に関しては、理解するだけでなく、独力で計算できるようになる練習が必要です。例や例題およびそれに付随している問題で十分です。特に、多くのことを学ぶ必要のなる中高生には有効だと思います。定理の証明は、定義を覚え、定理を理解し使えるようになってからで構いません。その頃には、証明を理解するのがらくだと思います。

尚、定期テストなどで点が取れることは別です。▢


矢野健太郎氏や小平邦彦氏のエッセーが絶版だったので、所有しているもので現在も手に入るものを一冊だけ紹介しておきます。

岡 潔 著『春宵十話』(光文社)
数学者のエッセーは、数学の魅力を掻き立ててくれると思います。画家の故 安野光雅氏は、森毅氏と交流があったようだし、数学と絵画を融合させた本も出版されています。

 


矢野健太郎著『おかしなおかしな数学者たち』(新潮文庫)絶版
小平邦彦著『ボクは算数しか出来なかった』(日経サイエンス社)絶版
小平邦彦著『怠け数学者の記』(岩波現代文庫)絶版

3冊とも絶版だとは...古本ですが手に入るようです。
小平邦彦氏はフィールズ賞をとった数学者なのだから、再版されてもいいと思うのですが。

2021/04/17

(改題)本来、Euclidの互除法は図形的に捉えるものだ ~ユークリッドの互除法の図形的説明~

問題 縦4370mm、横7130mmの長方形の部屋を同じ大きさの正方形のタイルカーペットで敷き詰めたいと思います。敷き詰められる正方形で最大のものは、一辺が何mmのタイルカーペットですか。


読者の中には、「最大公約数を求めればよい」と即答された方もいると思いますが、では答えはというと簡単ではないと思います。

素因数を見つけるだけでも大変なので、こういうときにはEuclid(ユークリッド)の互除法が有効です。その仕組みを説明したいので、数を簡単にします。

縦6mと横14mとして説明します。このとき、敷き詰められる最大の正方形の候補は、一辺が6mの正方形ですね。それを表現したのが下図です。

一辺が6mの正方形で敷き詰められないことは分かりました。

ここで、《もしも赤い部分が正方形で敷き詰められたら、2つの正方形もその正方形で敷き詰められますね。また、赤い部分が正方形で敷き詰められなかったら、2つの正方形もその正方形では敷き詰められません。だから、赤い部分の長方形を出来るだけ大きい正方形で敷き詰めることが出来れば全体の長方形もその正方形で敷き詰められます》。

その最大の正方形の候補は、一辺が2mの正方形です。6-2-2-2=0なので、一辺が2mの正方形で敷き詰められます。▮

上の《 》の部分が本質的な部分で、それを繰り返し用いたものがEuclidの互除法なのです。この考え方であれば、小学生でも気づいている子がいると思います。


では、もう少し値を大きくし、縦21㎝、横51㎝とします。これを図で表現すると

です。式で表現すると、

51-21-21=9(←51-21×2=9)※一辺が21㎝はダメ
21-9-9=3(←21-9×2=3)※一辺が9㎝もダメ
9-3-3-3=0(←9-3×3=0)※一辺が3㎝でうまくいく
よって、一辺が3㎝の正方形で敷き詰められます。▮


では、最初に挙げた問題を解いてみます。
7130-4370=2760 ※一辺が4370mmはダメ
4370-2760=1610 ※一辺が2760mmもダメ
2760-1610=1150 ※一辺が1610mmもダメ
1610-1150=460 ※一辺が1150mmもダメ
1150-460-460=230(←1150-460×2=230) ※一辺が460mmもダメ
460-230-230=0(←460-230×2=0) ※一辺が230mmでうまくいく
よって、一辺が230mmのタイルカーペットで敷き詰められます。▮


上の2つの計算は、次のようにしています。


ユークリッドの互除法の計算の仕方は他にもありますが、仕組みは同じです。▢


※計算の仕方は、動画だと分かりやすいと思います。(2021.4.18 9:33以降視聴可)


2021/04/10

数を発見された順に並べてみると…驚きの結果!

問題です。気楽に答えてみてください。

知らない数も含まれていると思いますが、次の①~⑨で知っている数だけについて、あなたたち人類が発見した順に並べてみてください。知らない数を並べるのは無意味です。クイズではありませんし、テストでもありません。ただ、「へーっ」て感じてもらいたいのです。私自身、以前に少し調べて、「へーそーなんだー」と感心したからです。それを味わってもらいたいのです。だから、私の答えは完璧ではありません。その時代に生きていませんから。ドラえもんがいたら、タイムマシンで数の発見の旅に行けるのですが。

だからもし、「数の歴史に詳しく発見の順を知っているなら、答えに誤りがあったら指摘してください。」みんなで「へー」を分かち合いましょう。

①「1,2,3」   ②「0」(位取り記数法)    ③「1/2, 3/5」

④「0.1, 1.5」    ⑤「-2, -5」             ⑥「円周率π(パイ)」

⑦「√2,√3」           ⑧「自然対数の底e」     ⑨「i (虚数単位)」


次の順で文献を調べました。(蔵書のみ 他にも関係ありそうなものを用意したけど)

岩波数学辞典(第3版)
小川束,平野葉一共著『数学の歴史』(朝倉書店)
中村幸四郎著『数学史』共立全書
ジョン・タバク著『はじめからの数学3 数』(青土社)
黒木哲徳著『なっとくする数学記号』(講談社)
エビングハウスら8名の共著『数 (上)』(シュプリンガー・フェアラーク東京)
(8名の共著だけのことはある。P進数が書かれていたから購入した本なのに 驚)

次を結論とします:①, ③, ⑦, ⑥, ④・⑤, ②, ⑧, ⑨.
※ 東洋と西洋で異なることは知っていたので、「人類」を大前提としました。
♪ 分数は早くから使われていましたが、分数の概念を人類の叡智として得たのは、可換環が
 整備された20世紀だと主張する数学者もいます。

①自然数は人類誕生前の鳥も知っていたといわれています。
③分数は早くから使われていました。
⑦ピタゴラスは無理数を怖れたらしい。
⑥近似値を用いていました。
④・⑤中国数学の『九章算術』。紀元1世紀にはまとめられていて、小数・負の整数が書かれていたたらしい。赤字・黒字(負の数・正の数)は今でも伝えられていますね。
②位取り記数法の発見によって、たった10個の記号で、想像もできないくらい大きい数も表現できます。岩波新書(赤)『零の発見』は今でも読まれています。
⑧対数表を作った時に、ネイピアは想定していたようです。
⑨オイラーが使い始めだそうです。■

※ 西洋では、負の数・小数をなかなか認めなかったらしいのです。
    15世紀以降に徐々に使われはじめたようです。

岩波数学辞典、学部生の頃は使いこなせなかったのに、いまはとても便利です。wikiでは、自分の専門に関しては不足を感じるので、日本の数学者たちの汗の結晶である数学辞典は重宝しています。第2版の頃とは雲泥の差の量で、現在は第4版が出ています。一人で何もかも知るのは不可能なのは、ぺらぺらとめくっただけで判断できます。何でもそうだと思いますが、知れば知るほど無知であることを自覚します。「ほとんど、何も知らんなあ」と。
だから、おもしろいのだと思います。ゲームでも似たものがあるのではないでしょうか。パーティを組んで、いざ冒険の旅へ。▢

2021/04/03

三角数とGauss少年と数列の和(お子さんが数に興味をもったら…)

問題 (正の整数)1から10までをすべて足すといくつか。


小学5年生のときに、クラスメイトのHからこの問題を出された。ちょっと考えて45と答えたが、Hは「直ぐに答えないといけない」と言った。「知ってる訳ないじゃん」と思ったが、そんなんどーでもいいことのようだ。「どーやって出したか」と訊かれたので、1+9,2+8,3+7,4+6の結果に5を足したと言ったが、「そんなんダメだ」と言って、「答えは55」と自慢げに言った。「しもたー、10を足し忘れた」というのはどーでもよく、ただ学習塾で習ったことを自慢したかっただけのようだ。「ぢゃー、1から100まで足したらいくつか」と問題を出してきたが、「ポットじゃあるまいし」と思っていたら、答えるよりも早く「5050だよ」と言った。アホらしっ。まあ、これがあったから、今でも「55」だけはずっと覚えている。


つまらぬことをずっと覚えているものです。脳に、傷として刻み込まれたのだと思います。

ここに出てきた「55」や「5050」が三角数です。小さい方から順に並べると

1, 3, 6, 10, 15, 21, 28, 36, 45, 55, 66, 78, 91, 105, 120, 136, ...

となります。どのような規則で並んでいると思いますか。

「2,3,4,5,6,…と増えている」という回答が多いでしょうか。もちろん、正解です。その場合、第n項(n番目の数)は簡単に求められそうですか(※1)。例えば、第100項はいくつですか、と訊かれたら直ぐに答えられそうですか。


この数列はもっと単純で、少年Hが言ったように、正の整数を1から順に足したものを並べたものです。
        1, 1+2, 1+2+3, 1+2+3+4, 1+2+3+4+5, ...

という具合にです。高校数学Bの例題にありそうですね。これが三角数と呼ばれるものです。
次の絵をみると、その由来は納得してもらえると思います。

黒白で色分けし見やすくしたつもりですが、三角形が見え難くなってしまったかな。次の絵だと三角形が見やすいと思います。黒の碁石だけを見てくださいね。



では先ほどの第100項は、

               1+2+3+・・・+99+100

の答えなので、少年Hが自慢気に言った「5050」です。

実はこれ、数学者ガウス (Gauss, 1777-1855 ※2) の逸話で知られている問題なのです。
ガッコのセンセが、自分の仕事をするための時間稼ぎのために、受け持ちの子供たち(小学3年生?)に「1から100までを足したらいくつか」と出題したのですが、少年ガウスに即答されてしまったのだそうです。

(1+100)×100÷2を計算し、5050を導いたのです。

単に、1,2,3,4...でなく、いろいろな物を使ったりして数を習得したのなら、小2・3年生でも思いつくとおもいます。最近だと、小学受験や中学受験などで詰め込まれているため、即答できる子がいると思いますが…。


閑話休題。次のように数を認識していると、ガウス少年のように解けると思います。


理由は、次の図で明らかだと思います。パズルやブロック(レゴ)遊びをしている子も気づくと思います。流石に、1から100までの整数の和は並べられないので、1から10までの和を表現してみました。黒の碁石が 1+2+3+4+5+6+7+8+9+10 を表しています。


黒の碁石の個数がかんたんに求められますね。
長方形状に並んでいるから、全部の碁石の個数は 10×11個で、白の碁石はその半分だから

10×11÷2=55.

だから、黒の碁石は55個です。これにより、1から100までの合計も同様に考えて、

               (1+100)×100÷2=5050.


もちろん、碁石でなく、みかんやお猪口を並べてもおもしろいですね。私の場合は、小学1年生の授業で「スタンプを押す」という作業を通して、数を図形的に捉えていました。□

動画あり(2021.4.4 9:17以降視聴可)


余談
その授業はいろいろな形のスタンプを帳面(チョウメン:ノートの意)に書いた1から10までの数の横に、その数の分だけスタンプを押すというものでした。最初の1から3まではできた人から順にセンセに見せに行き、〇をつけてもらうという形式でした。5からは「自由に押していい」と指示されたから、数字の横に自由に押したらペケされました。
その当時も、いまも寡黙でまじめな少年一は、文句も言わずじっと耐えました。まあ、カトセンセの「自由に」というのは、「スタンプの種類」について言ったもので、「個数を好きなだけ押してもいい」という意味でないことは、いまは判ります。でも当時の私には、そのように受け取れませんでした。級友のひとりは帳面一杯にスタンプを押していました。やはり、センセの指図に問題があったのだと思います。■


※1 高校数学Bの数列で、1からnまでの整数の和は、公式として習うと思います:

n(n+1)/2.


※2 数学者 Gauss について書かれた本は数多あると思います。所蔵本から次の3冊を紹介しておきます:

・左の 安倍 齊著『代数ことはじめ』(森北出版 1993年出版)は、中古しかないようです。
ただ、これは書名の通り、数学の本です。でもやわらかく書かれています。

・中の E.T.ベル著『数学をつくった人びと Ⅱ』(ハヤカワ文庫 NF)は、新刊で入手できそうです。所蔵のは、東京図書から出版されたもので、上下巻だったものが文庫化で3分冊になったようです。上巻の後半だったので、第2巻に収録されたようです。感想をみてガウスが載っていると確認しました。
この本は、数学者の伝記です。読み物としておもしろいと思います。1976年以来読み継がれているようです。所蔵のは1984年版です。

・右の S.G.ギンディキン著『「ガウスが切り開いた道」』(丸善)は、新刊で入手できるようです。所蔵のは、シュプリンガー・フェアラーク東京から出版されたものですが、いまは丸善から出されているようです。
ガウスの業績を知る格好の本だと思います。内容も他2冊の中間的なものだと思います。

2021/03/31

Mr.Robotにプログラムする

 いきなりの問題で嫌だと思いますが、これを考えてみてください。

「小さな箱が8箱あり、1箱にデコポンが6個ずつ入れられています。全部でデコポンは何個ありますか」
あなたなら、この問題をどのような計算式で答えの48個を導きますか。


日本の学校教育に忠実な人は、6×8 が多く、8×6 は少数だと思います。
日本以外で教育を受けた人は、8×6 が多く、6×8 は少数でしょうか。
ひょっとしたら、6+6+6+6+6+6+6+6 や 8+8+8+8+8+8
を計算して求める と答える人もいると思います。

もちろん、いずれも正解です。

(♪)  (1当たりの量)と(分量)を掛けることで、(全体の量)が求められる

からです。足し算で求める方法を答えた人はとても堅実だと思います。

えっ、8+8+8+8+8+8の理由が意味不明ですか。これは日常的にも使われている考え方です。運動会の玉入れで数を数えるときを思い出してください。つまり、8人のひとがそれぞれの箱から1個ずつ取り出していくと、6回取り出した時点で数え終わるでしょ。


「教育上掛ける順番は大切」「どちらでもいい」「外国では逆に教えている」「左から作用させることが多い」「単位が異なるから順序は大切(※0)」などなどの意見があることは、ツイッターやYouTubeで何度か目にしたので知っています。
高校生の頃、遠山啓氏の本を読んだので、仮に(1当たりの量)×(数量)=(全体の量)が正しいとしても8×6が成り立つことも知っています。(玉入れやトランプ式 ※1)


考えている世界が可換なのだから、(♪)が本質で、本来そのように教えられるものだと思います。記号「×」には可換性が仮定されていません(※2)が、対象としている数の世界で可換なのだから、順番を気にする方が不思議です。因みに、高校、大学では左からの作用が多く用いられています。高校数学(数学Bの和公式)も

           a+a+a+…+a= aをn個足す =na

と書きますし、場合の数で学ぶ「積の法則」も高校教科書の多くが左作用で書かれています(※3)。一度だけ、右作用で書かれた教科書を見掛けたことがあります。それくらい稀なのです。

さらに、代数学(細かいことは省きますが)でも、

       n<0 のとき, na:=(-a)+(-a)+(-a)+…(-a)=(-a)が(-n)個

という書かれ方をします(※4)。


次の問題を考えてみてください。

家族7人で回転寿司に行きました。そのときの様子は以下の通りです。13歳のわたしは10皿、7歳の妹は5皿、16歳の兄は27皿、43歳の父は12皿、37歳の母は35皿、65歳の祖父は7皿、72歳の祖母は47皿食べました。1皿に寿司が2個ずつ乗っているとすると、わたしの妹は寿司を何個食べましたか。(※5)


この問題を小学2、3年生が「10個」と解けたのなら、何の問題もありません。いろいろな数量を処理したのだから、とても賢いと思います。「5+5」であってもです。もう既に書きましたが、このように考えると自然です。

わたしの妹が食べた寿司が、イクラ、マグロ、サーモン、たまご、ハンバーグとし、この5皿を並べて1個ずつ順に食べたとすると、5+5ですよね。

ところで、足し算や掛け算を理解していないと、7歳の妹が5皿食べたのだから、7+5や5×7や7+2+5などとしてしまうものです。この混乱を狙った問題なのですが、問題文を理解し10個と出したのなら、5+5でも2+2+2+2+2でもとても賢いと思います。もし足し算で答えを出したのなら、このときに「掛け算」が使えることを教えればいいのです。何度も教えれば、いつか気づくものです。


私の言いたいことは伝わったでしょうか。
大学所属の数学者たちが文科省に意見書を出さない限り、本質から逸れた議論が今後も続くと思います。検定教科書に名が載っている数学者たちには、未来の子供たちのためにがんばってもらいたいと思います。▢


※0 オームの法則は単位が異なりますが、「E=IR」も「E=RI」も使われているようです。本質は、電位差と電流は比例することだと思います。積の順序ではありません。


※1 玉入れ式は既に述べた通りの方法です。「トランプ式」はトランプを配るときの方法です。多くは、一枚一枚を一人一人に順繰りに配付していると思います。1周すると人数分の枚数を配ることになります。だから、何周するかで配った枚数が判りますね。1箱から1個ずつ取っていくと、6周したら全部取り終わります。だから、8×6となります。
この主張は真正面から「掛け算の順序」に異議を唱えていると思います。でも欠点は、立式した人がそこまで考えたとは思えないことです。掛けたら求められると覚えているだけで十分だと思います。
この「トランプ式」が遠山氏の本でないなら、矢野健太郎氏の本です。40年も前の記憶なので自信がありません。

※2 【雑談は数学の肥やし】記号「×」には可換性が仮定されていません。をご覧ください。

※3 積の法則「2つの事柄A,Bがあって、Aの起こり方がa通りで、そのそれぞれに対してBの起こり方がb通りであるとき、AとBがともに起こる場合はab通りである」というものです。もしも(1当たりの量)×(数量)=(全体の量)が絶対なら、Aのある1つの事柄に対してb通りあるのだから、baと書くことになります。でも、ほとんどすべての教科書がabの表記になっています。

※4 2-1. いまさらきけない『文字式の扱い方』にも書きましたが、文字をアルファベット順に書くことは多いのですが、絶対ではないことがこのことからも判りますね。もしも中学数学でアルファベット順を強調しているのなら、本質から逸れています。


※5 「貫」を用いると、混乱が生じる可能性があるので、敢えて、「個」を用いることにしました。


補遺
テストの正誤判断について、ガッコのセンセに文句を言っても何も変わりません。指導書、学校毎、出身教育大学毎、指導教官などさまざまな理由があると思われます。塾のテストでさえそうなのです。

尚、大学の数学者たちは、数学的に誤りでない限りペケにしません。ひょっとしたら、ペケにするような数学者を幸い知らないだけかもしれません。

日本の大学の数学者たちが、小中高の学校教育にも興味関心を持ち、教科書検定で名前だけを連ねるだけのことから脱し、教科書の誤りに問題提起するようになれば、数学の出来る学生も多くなるだろうし、文系や理系などというおかしな区分もなくなるだろうし、さらには技術革新(innnovation)に貢献できると思うのですが…。妄想は膨らむ■

加筆(2021.4.1)
補足 どの本に書かれていたか調べてみたら、現在所有している次の2冊に書かれていることが判りました。

左の矢野健太郎著『おかしなおかしな数学者たち』(新潮文庫)昭和59年
は古本でしか残っていないようです。102ページから始まる章『遠山啓』の節「カード式配り方」(119ページ~) の記憶が残っていたようです。

右の志村五郎著『数学をいかに教えるか』(ちくま学芸文庫)2014年
は値段が高めですが手に入るようです。045ページから『3.掛け算の順序』の章を設けて書かれていました。7年ほど前に読んだので忘れていました。志村谷山予想で知られている志村氏も触れていたのですね。

2021/03/27

四角数(平方数)と数列の和

 1,4,9,16,25,36,49,64,81,100,121,144,169,196,225,256,289,324,361,400,...

が四角数です。『理一の数学事始め』の因数分解では、平方数として紹介した数です。これらは小さい方から順に、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,...を2乗した数です。

なぜ「四角数」と呼ばれるのか。

1×1=1=1,

2×2=4=1+3,

3×3=9=1+3+5,

4×4=16=1+3+5+7,

5×5=25=1+3+5+7+9,

6×6=36=1+3+5+7+9+11,

............

右辺[1から順に並べた奇数の和]は真ん中の数になるのは、計算で確かめられます。左辺は真ん中の数が平方数であることを示しています。

次の図をみると、そのことがよくわかると思います:
左から順に、1、1+3、1+3+5、1+3+5+7を表しています。


さらに、1+3+5+7+9、1+3+5+7+9+11と並べてみました。

碁石を1個、3個、5個、7個、…と " 」" の形に並べていくと、きれいに正方形状に並ぶことが確認できると思います。これにより、全部の碁石の個数は(1辺に並んだ碁石の個数)×(1辺に並んだ碁石の個数)で求められるます。だから、1から始まる奇数列の和は四角数であり、平方数なのです。

このことから、

  1+3+5+7+9+11+13+15+17+19+21+23+25+27+29+31+33

を計算するのも簡単ですね。奇数が1から順に17個ならんでいるので、17×17=289です。


このような数の不思議を解明しようというのが、数論とか整数論と呼ばれているものです。小川洋子さんの小説『博士の愛した数式』は、その世界が描かれていますね(※1)。▢


YouTubeの動画でも説明しています。


※1 整数だからといって、整数だけを扱って研究している訳ではありません。抽象代数学(群・環・体など)を使わずに、整数の不思議を話している世界をみたいなら、

ハーディ,ライト 共著『数論入門Ⅰ,Ⅱ』(シュプリンガー数学クラシックス)

をご覧ください。



数学の本は高価なので、立ち読みか図書館で借りるなどして、気に入ったら購入し、じっくりと読んでみてください。



補遺
京大の望月氏の研究で判るように、数論の研究は整数の世界だけでは解明できないのです。整数論の研究というと、群・環・体→代数的整数論→高木類体論,複素関数論→解析的整数論→岩澤理論,代数幾何・楕円曲線論→数論幾何などがありますが、実際は、興味関心に惹かれ、研究を深めているようです。解析に秀でた同期の学生は、ζ(ゼータ)関数の本を読みこなし、Riemann(リーマン)予想の解明に興味を持っていました。■


加筆
左の本は 矢野健太郎著『すばらしい数学者たち』(新潮文庫)
私が所有しているのは昭和55年版で、表紙もまったく違います。その絵は、こちらの note で見られます。ピタゴラスの章の44ページから触れられています。この本で最初に知りました。

右は コンスタンス・レイド著『ゼロから無限へ』(ブルーバックス)
93ページからの『4の話』で触れられています。この本は、サブタイトル「数論の世界を訪ねて」から判るように、数論に興味がある人はたのしく読めると思います。

2021/03/20

因数分解や展開は数の計算にも使える

次のイ)~ヌ)を工夫して計算してみます。あなたなら、どのように計算しますか。

イ)53×68+53×32         ロ)381×78-68×381

ハ)87×87-13×13         ニ)243×243-43×43

ホ)72×72              ヘ)203×203

ト)43×42              チ)718×702

リ)83×53              ヌ)307×207


次に示す方法で計算できます。実際の計算は最後に示します。

イ)53×68+53×32 
ロ)381×78-68×381

この2つは、因数分解すると暗算で答えが出せます。多くは、分配律と一緒に習うと思うのですが、私は因数分解と認識しています。数値を工夫してありますが、因数分解ができるときは因数分解した方が計算はらくです。


ハ)87×87-13×13
ニ)243×243-43×43

この2つも因数分解すると計算がらくです。


ホ)72×72
ヘ)203×203

この2つは展開公式を利用すると計算がらくで、暗算も可能だと思観ます。


ト)43×42
チ)718×702
リ)83×53
ヌ)307×207

この4つは同じ展開公式を利用すれば、計算がらくになります。


では、その計算方法を示します。公式は下の写真を参照してください。

イ)53×68+53×32=53×(68+32)=5300,

ロ)381×78-68×381=381×(78-68)=3810,

ハ)87×87-13×13=(87+13)・(87-13)=7400,

ニ)243×243-43×43=(243+43)・(243-43)=57200,

ホ)72×72=(70+2)・(70+2)=4900+280+4=5184,

ヘ)203×203=(200+3)・(200+3)=40000+1200+9=41209,

ト)43×42=(40+3)・(40+2)=1600+200+6=1806,

チ)718×702=(700+18)・(700+2)=490000+14000+36=504036,

リ)83×53=(80+3)・(50+3)=4000+390+9=4399,

ヌ)307×207=(300+7)・(200+7)=60000+3500+49=63549.

※ ホ)からヌ)までは、暗算部分を縦に並べると計算しやすいですね。□



動画版【数学雑談】(2021.3.21 9:17以降視聴可)



ちょっと・・・それは・・・ ~ 定義とその周辺の話 ~

内容的には高校数学なのですが高校生には難しいと思います。ただ高校生であっても定義・定理(命題)・公理の区別が出来ているのであればおもしろいと思うし、数学教師志望の教育学部や数学科の学生には興味深い話だと思います。 現在、 『数学事始め』 では指数関数・対数関数の話をしています...