2021/03/27

四角数(平方数)と数列の和

 1,4,9,16,25,36,49,64,81,100,121,144,169,196,225,256,289,324,361,400,...

が四角数です。『理一の数学事始め』の因数分解では、平方数として紹介した数です。これらは小さい方から順に、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,...を2乗した数です。

なぜ「四角数」と呼ばれるのか。

1×1=1=1,

2×2=4=1+3,

3×3=9=1+3+5,

4×4=16=1+3+5+7,

5×5=25=1+3+5+7+9,

6×6=36=1+3+5+7+9+11,

............

右辺[1から順に並べた奇数の和]は真ん中の数になるのは、計算で確かめられます。左辺は真ん中の数が平方数であることを示しています。

次の図をみると、そのことがよくわかると思います:
左から順に、1、1+3、1+3+5、1+3+5+7を表しています。


さらに、1+3+5+7+9、1+3+5+7+9+11と並べてみました。

碁石を1個、3個、5個、7個、…と " 」" の形に並べていくと、きれいに正方形状に並ぶことが確認できると思います。これにより、全部の碁石の個数は(1辺に並んだ碁石の個数)×(1辺に並んだ碁石の個数)で求められるます。だから、1から始まる奇数列の和は四角数であり、平方数なのです。

このことから、

  1+3+5+7+9+11+13+15+17+19+21+23+25+27+29+31+33

を計算するのも簡単ですね。奇数が1から順に17個ならんでいるので、17×17=289です。


このような数の不思議を解明しようというのが、数論とか整数論と呼ばれているものです。小川洋子さんの小説『博士の愛した数式』は、その世界が描かれていますね(※1)。▢


YouTubeの動画でも説明しています。


※1 整数だからといって、整数だけを扱って研究している訳ではありません。抽象代数学(群・環・体など)を使わずに、整数の不思議を話している世界をみたいなら、

ハーディ,ライト 共著『数論入門Ⅰ,Ⅱ』(シュプリンガー数学クラシックス)

をご覧ください。



数学の本は高価なので、立ち読みか図書館で借りるなどして、気に入ったら購入し、じっくりと読んでみてください。



補遺
京大の望月氏の研究で判るように、数論の研究は整数の世界だけでは解明できないのです。整数論の研究というと、群・環・体→代数的整数論→高木類体論,複素関数論→解析的整数論→岩澤理論,代数幾何・楕円曲線論→数論幾何などがありますが、実際は、興味関心に惹かれ、研究を深めているようです。解析に秀でた同期の学生は、ζ(ゼータ)関数の本を読みこなし、Riemann(リーマン)予想の解明に興味を持っていました。■


加筆
左の本は 矢野健太郎著『すばらしい数学者たち』(新潮文庫)
私が所有しているのは昭和55年版で、表紙もまったく違います。その絵は、こちらの note で見られます。ピタゴラスの章の44ページから触れられています。この本で最初に知りました。

右は コンスタンス・レイド著『ゼロから無限へ』(ブルーバックス)
93ページからの『4の話』で触れられています。この本は、サブタイトル「数論の世界を訪ねて」から判るように、数論に興味がある人はたのしく読めると思います。

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ちょっと・・・それは・・・ ~ 定義とその周辺の話 ~

内容的には高校数学なのですが高校生には難しいと思います。ただ高校生であっても定義・定理(命題)・公理の区別が出来ているのであればおもしろいと思うし、数学教師志望の教育学部や数学科の学生には興味深い話だと思います。 現在、 『数学事始め』 では指数関数・対数関数の話をしています...