2021/04/21

数学学習の基本の基

 数学オンチだった頃、数学のテストで数学のできる人(=高得点を取る人)というのは、授業を一回受けただけで、独力で解法を見つけて解いているのだと思っていました。

数学科に入ってからも、そう思っていました。小学校の頃の級友と矢野健太郎氏か小平邦彦氏のエッセーが要因だと思います。実際は、そういう人(=数学のできる人)は極めて稀で、多くは塾で解法を教えてもらったとか、参考書で解き方を覚えたとか、中には解法の丸暗記をしている(=高得点を取る人)ということを、数学を教えるようになってから徐々に認識しました。できる≠高得点をとる、だったのです。

数学ができるようになりたいなら、基本を大切にしてください。そして納得がいくまで考えましょう。理解が進まないのなら、それは以前に学んでいることをきちんと理解しない可能性が高いと思います。これを自分で見つけるのは大変なので、こういうときは数学の先生や数学のできる友人に頼りましょう。ただ、頼りすぎると数学はできるようになりません。時間はかかりますが、自分で考え抜くことが基本の基です。

基本というのは、教科書でいうと最初の導入部をきちんと理解することです。次に定義を覚え定理の意味を理解することです。計算に関しては、理解するだけでなく、独力で計算できるようになる練習が必要です。例や例題およびそれに付随している問題で十分です。特に、多くのことを学ぶ必要のなる中高生には有効だと思います。定理の証明は、定義を覚え、定理を理解し使えるようになってからで構いません。その頃には、証明を理解するのがらくだと思います。

尚、定期テストなどで点が取れることは別です。▢


矢野健太郎氏や小平邦彦氏のエッセーが絶版だったので、所有しているもので現在も手に入るものを一冊だけ紹介しておきます。

岡 潔 著『春宵十話』(光文社)
数学者のエッセーは、数学の魅力を掻き立ててくれると思います。画家の故 安野光雅氏は、森毅氏と交流があったようだし、数学と絵画を融合させた本も出版されています。

 


矢野健太郎著『おかしなおかしな数学者たち』(新潮文庫)絶版
小平邦彦著『ボクは算数しか出来なかった』(日経サイエンス社)絶版
小平邦彦著『怠け数学者の記』(岩波現代文庫)絶版

3冊とも絶版だとは...古本ですが手に入るようです。
小平邦彦氏はフィールズ賞をとった数学者なのだから、再版されてもいいと思うのですが。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ちょっと・・・それは・・・ ~ 定義とその周辺の話 ~

内容的には高校数学なのですが高校生には難しいと思います。ただ高校生であっても定義・定理(命題)・公理の区別が出来ているのであればおもしろいと思うし、数学教師志望の教育学部や数学科の学生には興味深い話だと思います。 現在、 『数学事始め』 では指数関数・対数関数の話をしています...