※①③の答えについては末尾にある 追加 もご覧ください。(2022.3.25 追加)
次の問題に答えてみてください。
問題 次の①~⑥の等号の意味をそれぞれ答えてください。
問題のついでに等号を学んだ歴史もみてみましょう。
最初に学ぶ等号は ① 1+1=2 ですね。この延長に方程式や関数があります。
次に学ぶ等号は ②AB=DE,\: ∠A=∠B, \: \triangle{ABC}=\triangle{DEF} などです。
そしてその次は ③ \pi =180^\circ (高校数学Ⅱ) の弧度法と度数法の関係です。
同時期に ④ \vec{a}=\vec{b} と ⑤ \vec{a}=(a_1, \: a_2) (高校数学B) のベクトルも学びます。
高校数学ではほとんど活躍しませんが、集合における ⑥A=B です。
このように問題にされると困りませんか。中学・高校までの数学だとあまり意識せずに等号を使っていると思います。私が⑤⑥をきちんと理解したのは大学2年だったと思います。
では答えを書きます。
①自然数の定義です。
②順に、線分の長さが等しい、角の大きさが等しい、三角形の面積が等しい です。
③弧度法の角の大きさと度数法の角の大きさが等しいという意味です。
④ベクトルが等しいということなので、向きと大きさが等しいということです。
⑤\vec{a} を基本ベクトル\vec{e_1}, \: \vec{e_2}で表示した\vec{a}=a_1\vec{e_1}+a_2\vec{e_2} と 数の組(a_1, \: a_2) が一対一対応することによる同一視です。
⑥集合が等しいということなので、A\subset B かつ A\supset B ということです。
ここで A\subset B の定義が気になるところですが、これも答えられますか。大学数学では基本中の基本になります。
集合Aの任意の元xが集合Bの元であることです。記号で書くと
任意の x \in A \Rightarrow x \in B
です。"任意" というのが大切なところです。
例えば、A=\{2,\: 4 \}, \: B=\{1,\: 2,\: 3,\: 4,\: 5 \} であれば A \subset B
ですが、C=\{2,\: 4, \: 6 \}, \: D=\{1,\: 2,\: 3,\: 4,\: 5 \} であれば C \not \subset D です。
6 \in C ですが 6 \notin D だからです。
等号は定義や同一視の意味で上のように乱用されます。乱用されるのは演算記号 "+, \: \cdot" も同じなので、どのように定義されたのかに気をつけてください。早ければ大学1年の線形代数、たいていは大学2年で 集合と位相 または 代数学 を学んだときに定義の大切さに気付くと思います。いや、既に気づいているのでしょうか。大学1年の微分積分は高校数学の延長のように計算主体で進めると思うので、気づき難いと思います。最近は実数論を1年の後半か2年で学ぶからです。
最後に、以前「角の大きさと自然な弧度法」でも書きましたが、私は③のような表現はしません。どうしても表現したい場合は \pi \leftrightarrow 180^\circ のように表現します。理由は、弧度法と度数法では世界が異なるからです。だから一対一対応の意味を維持した \leftrightarrow を使います。▢
追加:Twitter で指摘を受けました。①③は私の認識に問題があるようです。ここからこの記事を紹介したツイートに入り、引用ツイートおよびそれに連なるコメントを参考にしてください。より深く理解できると思います。
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