A県K市B小学校の5年生を対象に、2学期のあいだ毎週月曜日の朝に1週間の読書調査を行いました。下の表がその統計データです。A~Eの5クラスを15週に渡り調査を行い、調査結果は百分率で表しました。また、どのクラスも児童数は20人で、検査日の遅刻・欠席はありませんでした。調査対象の一週間というのは、先週の月曜日から前日の日曜日までです。
このデータをみて、本離れが続いているという噂は本当なのでしょうか。
※ 百分率はパーセント(%)のことです。
(このパーセントというのは、100点のテストで何点取ったかを表しています)
例えば、上から4行目、左から6列目に「15」という数値がありますが、これはCクラスの5週目の割合を表しています。つまり、5週目はCクラスの対象者の15%がこの1週間に読書をしたということです。
さて問題です。あなたならどのような分析をしますか。例えば、
①どのクラスが、読書習慣があると思いますか。
②Eクラスは4週目から読書率100%になりましたが、何があったと思いますか。
③このデータで気になることがあれば、それらをすべて挙げてください。
※正解を求めているのではありません。
自分なりの判断ができましたか。
では次に、上の元データを提示します。
これらの数値は1週間内に本を読んだ児童数を表しています。例えば、上から4行目、左から6列目に「3」という数値がありますが、これは5週目にはCクラスの3人がこの1週間に読書をしたことを表しています。
またまた問題です。この元データを見て、先ほどの分析を変えますか。また、気付いたことはありますか。ところで、このデータから本離れが起こっていると思いますか。
私の作ったデータですが、参考にしているのは現実社会で表に出ている統計です。
自問自答になりますが、こういうデータで気になることを書きます。
①本離れの真偽を調べるための調査であれば、比較できるデータが必要ですが何の提示もないところが気になります。
②読書とは何か、対象図書は何かについて言及がないのが気になります。
③データの計算式の提示がありません。
④この場合は、どのクラスも20人であるし値が小さいので実人数でいいように思う。割合を使う意味はあるのか。
⑤BCDEとも割合が高くなっているが、何が起こったのか寸評がない。
⑥Dクラスは12週目から実人数が10人なのにデータでは100%になっているのは何故か。
⑦Eクラスが100%になったのは、強制的に読書をさせたと考えられます。
したがって、読書離れについての判断は不可能です。また、どのクラスが読書習慣が身についているかは判断しかねます。読書習慣をクラス毎に分析する意味が理解できません。ちなみに、データを読んだ本の冊数にしても同じようなことが言えます。読んだ冊数に意味があるか否かが問題になります。
次回は、このような統計データの問題を明らかにします。▢
以前読んでおもしろかった本を紹介します。
谷岡一郎 著『「社会調査」のウソ リサーチ・リテラシーのすすめ』文春新書
読書記録をみると、読んだのは5年前です。この頃は「欺き」に興味関心があり、オカルトによる欺きも調べていました。なぜ興味をもったのかは忘れてしまいましたが、記憶の嘘についての本も読んでいました。
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