ユークリッド原論の第5公準
2直線に第3の直線が交わってできる同側内角(同傍内角)の和が2直角より小さいならば,2直線は同側内角の和が2直角より小さい側で交わる.
公理5(平行線公理)
直線上にない1点を通ってこれと交わらない直線は1つしかない.
この『数学雑談』を読んでくれている人は数学の得意な人が多いとおもうのですが、やはり第5公準をはじめて知ったときには違和感を持ったりしたのでしょうか。ひょっとしたら第5公準の証明を試みた天才肌の人もいるかもしれませんね。
凡人の私は何も感じることなく、ユークリッド原論と数学者たちの闘いの話を読んでから、そうなのかと思ったくらいです。はじめて知ったのは矢野健太郎氏の著書(新潮文庫か講談社新書)かと思います。
大抵の啓蒙書だと非ユークリッド幾何の誕生に触れ、数学者クライン(Klein)のエルランゲンプログラム(Erlangen program)の話で、幾何学と群の話になると思います。これだけでも十分おもしろく、幾何と代数が出遭うだけでわくわくします。
この第5公準と平行線公理が同値であることは知られていますが、同値であることに気づくものなのでしょうか。どの本だったか覚えていないのですが、第5公準から平行線公理が得られるとさらりと書いてあり頭を悩ませたことがあります。当時は疑問符しか出てきませんでした。
第5公準と平行線公理が同値であることは、現在連載している『理一の数学事始め』で証明を書きました。ユークリッドは同値であることに気づいていなかったようですが、第5公準から平行線公理を証明しているようです。この2つが同値であることに気づいた数学者は驚いたと思います。
みなさんは平行線公理から第5公準が導けると思えましたか。証明を理解するのに時間を要した私には想像すら出来ません。平行線公理があまりにきれいだからです。ゴツゴツした第5公準が導けるなんて。▢
左)L. ムロディナウ著『ユークリッドの窓』(NHK出版→ちくま学芸文庫)
右)寺阪 英孝著『非ユークリッド幾何の世界』(ブルーバックス)
左は副題の通り物語で読み易いと思います。
右は高校で1回、大学2年で1回、大学卒業して1回読んでいますが、いずれも途中からついていけずに挫折しています。一度は全体に目を通したのですが理解した感じはありません。今なら読み通せるかな...
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