現代数学を学ぶと、至る所に公理が顔を出します。
大学1年生が学ぶ微分積分で有名なものでは、Dedekind(デデキント)の切断公理だと思います。多くの数学科の学生を苦しめる公理です。理解してしまうと、なーんだというものなのですが、問題を解くことに勤しんできた人たちを打ちのめす働きをします。
線形代数だと線形空間ですが、すでに雑談で話したように、これはコペルニクス的転回をしたと理解すれば、あーそうなのかーという類いのものです。
平面の幾何シリーズ9で話したように、公理は要請だと思っていれば十分対応できると思います。定義、定理、公理と並べると漢字が似ているので混乱しますが、定義は日常でも使われるので覚えやすいと思いますし、現代数学では定理より命題の方がよく使われます。
平面の幾何シリーズ9、10と話してきて思ったのは、平面幾何は公理を理解するのに分かりやすい教材ではないかということです。ユークリッド原論の不備を理解するところで、公理が大きな力を発揮しました。参考書として使っていた『ユークリッド幾何学を考える』では、ユークリッド原論の不備を補って、ヒルベルトの幾何『幾何学基礎論』が組み立てられたということがよく理解できました。▢
過去のブログ『△ACE≡△CFAを満たす平面図形ってあるの?』の中で、平面の幾何の参考書をいろいろ紹介しましたが、小平邦彦著『幾何への誘い』は初学者にお薦めできます。溝上武實著『ユークリッド幾何学を考える』は少し難しいと思いますが、公理を理解するにはいい本だと思います。
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