2021/06/02

ある数学者の生家を訪ねて

高瀬正仁著『高木貞治 近代日本数学の父』 (岩波新書)



この本は、図書館で偶然みつけ、読みました。数学者 高木貞治は、氏の著書『解析概論』とか、偉大なる業績の「類体論」で知られていると思います。私にとっては整数論の大家で、2次体は『初等整数論講義(第2版)』で学びました。「イデヤル」表記の上、定義も古いので戸惑いもありましたが、いろいろなことが書かれていました。類体論を解説している『代数的整数論』を読んでもらおうと、懸命に書かれたのだと思います。


著書や業績などでしか知らなかったので、高瀬氏の著書を読んだときには、驚きと喜びがありました。隣の岐阜県で生まれ育ち、いまでは「高木貞治博士記念室」もあります。この本を読み終わったのが2018年の11月(読後ノートの記録)だったので、記念室(2018.3.29オープン)があったのです。本は2010年に出版されているので幸いしました。


新書を読んでる途中、本巣市を地図で確認したら自転車で日帰りできるくらいの距離だったので、読み終わってから直ぐに旅の下調べをしました。整数論の大家の力を分けてもらえればとの思いです。
そのときの自転車旅の順番は、胸像の置いてある学校・生家(生まれ育った建物は残っていません)・記念室です。ちょうど旬の時期だったようで、帰りに名産の柿を買い実家に送りました。


裕福な家に育ち、頭脳明晰。三高から東京帝大。地元の期待もあったのだと思います。展示品に自筆のものが何点もありましたが、字はとてもきれいでした。数学者にしてはめずらしいかと思います。時代の影響もあったのだと思います。


コロナ禍が収まったら、高木貞治記念室を訪ねてみてはいかがでしょうか。
岐阜県は観光地が多いので、登山・信長に興味あるなら金華山、映画『聲の形』に興味あるなら大垣、他に話題になった「モネの池」も近くにあります。▢



本文で紹介した高木貞治の著書
左)『解析概論』(岩波書店)
右)『初等整数論講義』(岩波書店)

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