2021/05/19

数学用語ほんやくコンニャク

以前にも触れましたが、明治以来、日本の数学者たちが外国語を日本語に翻訳してくれたお陰で、日本語によって数学を学ぶことができます。母国語のまま学べるというのはふつうのことではないので、とても有難いことです。西洋で学問が発展したのも、ギリシャ語やラテン語で書かれていたものを母国語で研究するようになってからのようです。

そう考えると、外国語の授業ならいざ知らず、わざわざ英語で授業をしようとする行為は愚かにみえます。教養レベルのことは母国語で学ぶものだと思います。

さて、翻訳してくれたのはとても有難いのですが、漢語ばかりなのでこの点が気になります。漢字の特性(表意文字)を考えると自然なのでしょうか。

関数は数学が理解できなくなる一つの分岐点だと思いますが、もしもfunctionを中国語の翻訳 函数(ファンスー) (※1)をそのまま輸入せずに、「はたらき」と翻訳してくれたら良かったのにと思うのは私くらいでしょうか。▢


小松勇作 編集『数学英和・和英辞典』(共立出版)
洋書を読むときに愛用している辞典です。定義されているなら、そのまま英語で読むのですが、既に習っている用語のときにはとても助かります。



※1 中国語の函数は英語の音を踏まえての翻訳で、それをそのまま輸入し、漢字制限のために函を関にして今に至ります。昭和の本には函数が残っていたと思います。吉田洋一著『函数論』(岩波全書)が真っ先に思い浮かびます。

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