2021/05/12

寅さん、月がきれい

夏目漱石はやはり偉大なのです。逸話「『月がきれいですね』とでも訳しなさい。」はよく知られていると思います。
 

数学者 志村五郎(故人)は、K大大学院哲学を修了した人から尊敬の念を抱かれています。
むかしの同僚が話してくれたのです。小説『檸檬』の舞台になった書店でアルバイトをしていたとき、志村五郎氏の著作『記憶の切繪図』『中国古典文学私選』を目にし、その著作が数学者であることを知り、それ以来、一目置くようになったのだそうです。私自身は数論の大家として存じ上げております。


夏目漱石は、日本人に素養を与えました。小説を通して、日本語を少しずつ整備したとみています。その恩恵を受け、共通語として普及したことによって、いまこうして意思を通じ合えます。数学者たちも日本人の教養を高めるべく、外国語を日本語に翻訳し、それによって日本語で数学の指導ができるようになりました。「ダッシュ」という日本語も定着させてしまいましたが。


「日本には総合大学は存在しない」
これは謎の数学者さんの言葉ですが、これを視聴すれば納得できると思います。


文系理系は昭和の前から使われているようで、受験予備校がつくったもののようです。「文系は、理系は」と言っている段階で、世界から取り残されています。これにより、もう、日本に漱石は出てこないと思います。安冨あゆみ氏が最後かなと思います。偏見だと思いますが、広く教養に溢れ、いろいろなことを研究する人は出てきにくいと思います。


本を読まない国語科教師、歴史を研究しない社会科教師、数学を研究しない数学科教師、物理を避ける理科教師とか、ありえません。教えないにしても、広く教養は身に着けてもらいたいですね。また、専門に固執してしまうのも困りものです。A.Einsteinらのように、悪のショッカーに利用されるだけではないでしょうか。



もしも車寅次郎に教養がもう少しあれば、マドンナの愛の告白にうまく答えらえれたでしょうに。『男はつらいよ 第46作』で愛が結ばれてます。いや、その前の第40作「サラダ記念日」でも告白されてたように記憶しています。でも結ばれたら完結してしまいますね。

葉 子「寅さん、月がきれい」
寅次郎「(月をみて)ほんとだねえ」
(がくっ)▢


左2冊は上で紹介した本、右の2冊は読んだことのある本です。
『記憶の切繪図』と『鳥のように』はエッセーです。教養の広さが感じられる作品ですし、政治的な見方も判ります。
『中国説話文学とその背景』は、指導教授から薦められて読んでみた本です。

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