0,1,2,3,4,5,6,7,8,9
十進数を織りなす数である。
オープニング:はいだしょうこさんが歌う『夢をかなえてドラえもん』
ぼくの名前は「はじめ」、「一」と書いて「はじめ」です。父親譲りで、頭がルート記号のような形をしている。夕べ、おかしな夢をみた。
0…これがいなければ十進法自体が存在しない。この世には欠かせない数。この数の発見は
人類にとって偉大な業績だ。(※1)
1…はじまり。ぼくの名前でもある。0と1さえあれば、いくらでも大きな数を表すことが
できる。0も1も数学をする上で欠かせない。可換環論になくてはならない存在だ。
2…素数の中で唯一の偶数。だから整数論では特別扱いされる存在でもある。残念ながら、
いい意味ではない。
3…最小の奇素数。三原色の3、三位一体の3。ミスター長嶋の背番号3。輝いている。
4…最小の平方数。もちろん、特別な数0や1を除いての話だ。
5…5べきはmod10で5。実に潔い。掛け算九九では5の段を始めに覚えた。
五、十、十五、二十、二十五、三十、…
6…完全数。恍惚となれる不思議な数。5と同じく、6べきはmod10で6。
6の自乗も、6の3乗も、6の4乗も、何乗しても一の位は6だ。
7…?
8…最小の立法数。2×2×2=8。
9…平方数。3×3=9。
「1,4,9。僕の中に入れると1,2,3だ」
「ねえ、博士。7って、何のおもしろみもないの?」
「そんなことないさ。7が欠けてごらん。せっかくの十進表記が台無しじゃないか。ルートはいちごの欠けたショートケーキは好きかい?」
「いちごが乗ってるショートケーキなら好きだよ。いちごは最後までとっとくんだ。そして最後に、ちょっとクリームのついたいちごをおいしく味わってケーキの時間は終るんだ」
「そうだろ。7はそういう存在だ。7は3と5と一緒になると輝きを増すんだ。双子素数はたくさん見つけられるが、3,5,7のような三つ子素数は、これしかないんだ」
「ふーん、そうかあ」
「何一つとして欠けてはいけないんだ。静かな数論の世界を破壊してはいけない」
目覚ましのアラームで目が覚めた。
「おかしな夢を見たものだ。夕べ遅くまで、未解決問題を考えすぎたのがいけなかったのかもしれない。数論の世界に移住し、静に暮らしている博士が私を心配して訪ねてきてくれたのだろうか」
エンディング:はいだしょうこさんの歌う『ひこうき雲』
書斎の机上には、(11,13), (17,19), (29,31),...と書かれた紙がちらばっている。▢
※1 吉田洋一著『零の発見』(岩波新書 赤)は、広く読まれている本だと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿