2021/11/13

平面上の点の位置 ~直交座標・極座標~

平面上の点を表す方法は中学1年で学ぶ座標だけでなく、高校数学Ⅲで学ぶ極座標というのもあります。自然なのは後者の極座標の方だと思います。


左が座標で、右が極座標です。極座標というのは、基準となる点と半直線を決めて距離と成す角の大きさで決めます。かんたんに言えば、距離と方角で点の位置を決めるものです。距離と方角は日常でも使っていると思います。この意味で自然なのです(※1)。

もう少し詳しく言えば、左の座標は基準となる軸が直交しているので直交座標といい、基準線の交点を原点と呼びます。横・縦の位置を組にしてに (a, b) のように表現します。一方の極座標は基準点を、基準線を始線と呼びます。図のOPは動径と呼ばれます(※2)。

ふつう極から点までの距離rはプラスを用いますがマイナスを使うこともあります。そのときは極を中心とする対称な点を意味します。また動径と始線の成す角もふつうは左回りを正の向きとしてプラスで表しますが、時計回りで測った場合はマイナスを用いて表します。正負(プラス・マイナス)を考え合わせた角を一般角といいます。角の大きさを表すのは度数法でも弧度法でも構いませんが、数学では弧度法が好まれます。

極座標を数学Ⅲ以降で学ぶのは、三角関数の知識を使うことと微積分で使うからだと思います。ところで平面上の同じ点を直交座標と極座標で表した場合の関係が気になると思いますが難しくありません。三角比と三角関数の知識があれば独自に導けると思います。次がその関係です。



中学1年で直交座標を学ぶとき、哲学者・数学者のR.デカルト(René Descartes)の逸話と共に学ぶと思います。著作『方法序説』で考えを示し、図形を数量で表現する方法は当時は画期的でした。これを活用し研究したのはフェルマーの最終定理で知られているP.フェルマー(Pierre de Fermat)です。図形を数式で扱う解析幾何学創成期の数学者です。中学数学では直線の初歩を学び、高校数学Ⅱでは直線と円を学びます。これが解析幾何です(※3)。▢


※1 複素数を平面上の点と考えた複素平面というのがあり、ここで極形式を学びます。これは極座標を利用した表現方法なので、数学者によってはこの極形式も極座標と呼びます。複素関数論で複素数zをz=re^(iθ) と表現する方法も学びます。この表現方法も極座標と呼ばれたりします。一見混乱しそうですが、話の流れでかんたんに区別できます。

※2 極は北極や南極の極、動径の径は半径の径です。極は最果て、径は小道という意味がありますがほど遠いですね。なので北極や半径を連想する方が覚えやすいと思います。

※3 いまは解析幾何学を学ぶことはないと思います。高校数学Ⅲの楕円と双曲線は解析幾何の欠片です。線形代数でもいまは解析幾何の話はないと思います。本は売られていますが、いまは微分多様体や代数多様体を学ぶ時代だと思います。

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