2021/10/02

物理現象と比例・反比例【活用編】

数学自体には比例・反比例というのはほとんど登場しません。比例に相当するのは線形でありこれはよく登場します。線形でないとき非線形といい私の知らない世界ですがよく耳にします。

前回の基本の確認でも触れた通り、理科の授業で扱うために算数・数学の授業で比例・反比例を扱っているのだと思います。それを示すために理科で学ぶ法則を抜粋してきました。


オームの法則電流I[A]は電圧E[v]に比例し、抵抗Rに反比例する。

落体運動】落下の速さvは時間tに比例する。

自由落下】静かに落とした物体の落下の距離hは時間tの2乗に比例する。

運動の第二法則
加速度の大きさα[㎨]は合力の大きさFに比例し、物体の質量m[kg]
に反比例する。

フックの法則
ばねの伸びまたは縮みがx[m]のときの弾性力の大きさF[N]はxに比例する。

ケプラーの第三法則】惑星の公転周期Tの2乗は軌道楕円の半長軸aの3乗に比例する。

万有引力の法則
2つの物体が及ぼし合う万有引力の大きさf[N]は2物体の質量m, M[kg]の積に比例し、距離r[m]の2乗に反比例する。(以上これらの法則は中高の教科書・参考書から抜粋)


比例・反比例という知識があれば、実験結果で上のようなことが予想され法則として受け入れられたときに有難いことが起きます。それらを式で表現してみます。いずれの場合も比例定数はkで統一して表すことにします。

オームの法則電流I[A]は電圧E[v]に比例し、抵抗Rに反比例する。
               ⇓
電流Iは抵抗Rに反比例するので
I・R=kで、電流Iは電圧Vに比例するのでI・R=k・E と書ける。単位をうまく調整したのが、よく知られているE=IRです。
  

落体運動】落下の速さvは時間tに比例する。⇒ v=kt (このkが重力加速度g)


自由落下】静かに落とした物体の落下の距離hは時間tの2乗に比例する。
               ⇓
             h=k・x^2
(中学の理科で自由落下を扱うために中学数学3で2次関数を比例で導入している)

運動の第二法則
加速度の大きさα[㎨]は合力の大きさFに比例し、物体の質量m[kg]
に反比例する。
               ⇓
オームの法則と同じに考えて、mα=kF という式が得る。k=1のときのFの大きさを1N(1ニュートン)と定義すれば、よく知られている 
mα を得る。

フックの法則
ばねの伸びまたは縮みがx[m]のときの弾性力の大きさF[N]はxに比例する。
               ⇓
             F=kx(このkがばね定数)

ケプラーの第三法則】惑星の公転周期Tの2乗は軌道楕円の半長軸aの3乗に比例する。
               ⇓
            T^2=ka^3


万有引力の法則2つの物体が及ぼし合う万有引力の大きさf[N]は2物体の質量m, M[kg]の積に比例し、距離r[m]の2乗に反比例する。
               ⇓
万有引力の大きさf距離rの2乗に反比例するのでf・r^2=kで、2物体の質量m, Mの積に比例するから f・r^2=kmM と書けます。このkが万有引力定数でGで表されます。▮


こうして理科の法則を数式で表現してみましたが、より高度な数学(微積分、微分方程式、ベクトル解析、微分幾何、複素解析等々)を学ぶと物理や機械が好きな人にはたまらなくおもしろいのだと思います。物理をおもしろいと思うのですが、なぜか苦手な私には知りたくても知れない世界です。▢

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