2021/08/04

思い出し(out-put とか recall とか言われている)をどのように行っているか

『理一の数学事始め』の「11.4 平行線の幾何(ユークリッド原論の第五公準と平行線公理【後】) 」の文末に書いた余談の再掲です。
受験勉強には役立たないと思いますが、趣味で数学をされている人には役立つと思い再掲することにしました。


余談 第5公準と平行線公理の同値性を理解するのは、易しくありませんでした。数学書は細かいことを省くことが多いので、それを埋めるのに合計6時間ほど掛かりました。

実際は次のような手順を行いました。数学書で証明の流れを理解し自分で書き出してみる。数学書を見ないようにし証明を書いてみる。理解はしているので、つっかえつっかえ書き、3分考えて書けないときは自分で書き出しておいた紙を見、確認したら見ずに書いてみる。しばらくしてからまた書いてみる。ゆっくりではあるが見ないで書けるようになったら、3時間ほどおいて証明を書いてみる。この頃には自分の言葉で書けるようになるので、細かいところに気づくようになります。この細かいところを埋めるのに時間が掛かるのです。数学書で確認しても書かれていません。翌日、証明を細かいことまで書いてみる。
このnoteは5日後に数学書を見ずに証明を書き上げました。これまで知らなかったことを書くときには、だいたいこのような流れです。定義や命題などの文言を書くときは数学書で確認しますが、その他は自分の言葉で書いています。
思い出し(out-put とか recall とか言われている)をすると、知識が整理されてやっと血肉になります。私はとかく時間が掛かります。この思い出しをちょっとした時間に行います。散歩とか散髪の間とかいろいろです。▮


伊原 康隆著『志学数学』はこれまでも紹介してきましたが、数学を学ぶにはとても参考になる本だと思います。



独学されている人にはこういうのも役に立つと思います。
          信州大学の松澤泰道さんのホームページ
若い数学者ですが、学部生の頃から指導教官の新井朝雄教授(解析系)の著書に関わっていたと思います。

および リンク先に書かれている "セミナーの準備の仕方についてはこちらを参考にしてください" の「こちら」をクリックすると「セミナーの準備のしかたについて」に飛びます。東京大学の河東泰之教授が書かれたものです。

以前これを読んだときにそのような授業をされていた数学者を1人だけ思い出しました。東京大学出身の数学者でしたが、その教授は数論幾何を専門にしているので河東教授とは関りがないと思います。 その教授は授業の一切を何も見ずに、ときどきは考えながら証明をしていました。授業を受けている学生はそれに気づき驚いていました。私はその数学者しか知りません。ほとんどすべての数学者は、授業の流れをノートで確認して授業をしていました。もちろん、証明のときにノートを見て板書するようなことはしませんけどね。

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ちょっと・・・それは・・・ ~ 定義とその周辺の話 ~

内容的には高校数学なのですが高校生には難しいと思います。ただ高校生であっても定義・定理(命題)・公理の区別が出来ているのであればおもしろいと思うし、数学教師志望の教育学部や数学科の学生には興味深い話だと思います。 現在、 『数学事始め』 では指数関数・対数関数の話をしています...