数 a を0で割るとどうなりますか。
Aさん「『÷0』は定義をしない」
Bさん「0で割ってはいけない」
Cさん「答えはない」
すべておっしゃる通りです。
もう少し丁寧に答えるなら、0÷0=不定、(0でない数)÷0=不能 と答えるのがいいかと思います。高校数学Ⅲで学ぶ「極限」というところで不定形として習うと思います。
でもね、問題は、なぜ0でも1でもないかなのです。
0÷0=0はとても自然に思えるし、こう答える人も多いと思います。
また0÷0=1も自然に思えます。
えっ、思えませんか。だって、1÷1、2÷2、3÷3、…、100÷100の答えはすべて1でしょ。つまり、ある数をそれ自身で割れば1になるじゃないですか。小学生の頃は、まじめにそう考えていました。
中学数学になって、「『÷0』は定義をしない」「0で割ってはいけない」と教えられたと思います。1次方程式を解くときに用いる「等式の性質」の説明のときです。
「等式の性質」というのは、等式 A=B なら、その両辺に同じ数を足しても、同じ数を引いても、同じ数を掛けても、同じ数で割ってもいいよ(でもね、0で割ってはいけない)、というものです。
中学数学では0で割るような機会はないと思いますが、高校数学になるとつい0で割りたくなることがあります。それも 0÷0=1ということを使ってです。と言っても、当人は0で割っているという自覚なんてないと思うんですよ、私も含めて多くの高校生は。ただ授業で繰り返し指摘されるし、テストでは大きな減点になるし、満点阻止のために出題されたりもするし、大学入試では必須事項の一つなので、覚えることになるのです。
もしも0÷0=1になったら、みんなが幸せになれます。テストで75点だって、30点だって、5点だって、100点に等しいからです。この話は別の機会に触れることにします。
なぜ0で割ってはいけないのか、0÷0や5÷0がなぜ不定や不能とされているのかの説明です。
15÷3はいくつですか。
5はどのように導きましたか。
小学校のとき、こう習いませんでしたか。掛け算九九の3の段を頭の中で、
3×1=3、3×2=6、3×3=9、3×4=12、3×5=15
とやって「5」だと。つまり、3×□=15 となる□が答えなのです。
この考え方を0÷0に適用させると、0×□=0 に当てはまる□が答えです。
0、1、2、3、…、-1、-2、1/2、√2、1+2i 、…
のように多分知っている数すべてが答えになります。任意の複素数でいいのです。一つに定まらないから、0÷0=不定 としているのです。
5÷0も同じように考えると、0×□=5 に当てはまる□がないことに気づきます。計算が不可能だから、5÷0=不能 としているのです。
数学では一意に定まらないことを嫌います。だから「0で割っちゃダメ」だと定義するのです。知らんけど
※ 2021.11.12 一部加筆しました。
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